
今後の外国人政策のあり方を検討していくにあたり、外国人の受け入れにかかわる多様なステークホルダーとの対話は重要であり、外国人が活躍できる環境の整備に向けた先進事例の共有や機運醸成が不可欠である。
そこで本稿では、愛知県名古屋市で2025年2月に中部経済連合会と共催した公開シンポジウム「外国人が活躍できる社会に向けて」から、パネルディスカッションの模様を紹介する。

長田 和徳
おさだ かずのり
日進工業社長
南山大学経済学部卒業。大手企業で研修後、父親が経営する日進工業に入社。2004年中京大学MBA取得。2005年社長に就任。2022年に碧南商工会議所会頭に就任。会社は自動車用の精密樹脂成形加工が主業務で、国内2工場・中国3工場を擁する。2012年「愛知ブランド企業」、2017年「はばたく中小企業・小規模事業者300社」、2018年「地域未来牽引企業」、2018年「グッドカンパニー大賞優秀企業賞」などに選定されている

末松 則子
すえまつ のりこ
三重県鈴鹿市長
1991年名古屋造形芸術短期大学卒業後、造園会社入社。2003年三重県議会議員に初当選。2011年鈴鹿市長に就任、現在4期目。「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」委員、「全国市長会外国人受入れ問題に関する検討会」座長代理などを歴任

平岩 恵里子
ひらいわ えりこ
南山大学国際教養学部教授(開催時点)
大学卒業後、(旧)東京銀行入行。フルブライトフェロー(ジャーナリスト部門、コロンビア大学大学院建築都市計画学科客員研究員)としてニューヨーク滞在。チャイナタウン移民支援NPO等を取材。国際労働力移動の経済分析で経済学博士(2004年、名古屋大学)。2013年南山大学外国語学部准教授、2020年同大学国際教養学部教授。研究テーマはアジアにおける国際労働力移動と日本の外国人労働者に関する考察

森 顕子
もり あきこ
認定NPO法人プラス・エデュケート理事長
愛知教育大学総合科学課程日本語教育学科卒業。外国ルーツの子どもたちが抱える言葉の問題の解決を図るため、2009年に活動を開始。2012年にNPO法人プラス・エデュケートを設立し、理事長に就任。これまでに1,500人以上の子どもを指導し、愛知県内の4自治体から日本語初期指導事業を受託。2023年に第59回社会貢献者表彰を受賞、2024年に第55回博報賞を受賞。現在は「子どもの日本語教師」を育成するFOR+プロジェクトにも注力している

毛呂 准子
もろ じゅんこ
モデレーター:経団連外国人政策委員会企画部会長
商船三井取締役
大学卒業後、大阪商船三井船舶(現商船三井)に入社。人事、経営企画、秘書などコーポレート部門を中心にキャリアを歩む。2004年から4年間は商船三井客船においてクルーズ企画と外国人クルーの人事を担当。秘書室長、経営企画部専任部長、コーポレートマーケティング部長、執行役員(人事部担当)、常務執行役員、CHROを歴任。2023年6月取締役。博士(生涯発達科学)(筑波大学)
- ■ 国内における外国人労働者の現状
- 日本の外国人材の受入れ状況と経済的効果
- 増加を続ける外国人労働者と多国籍化
- 勉強ができないのではなく日本語がわからないだけ
- ■ 政府への期待や今後の外国人政策のあり方
- 外国人政策を一元的に進める国の司令塔機能の創設
- 現行制度の問題点と労働移動の実状
- 質の高い日本語教育の環境整備と人材育成
- 外国人が社会に置き去りにされないよう社会統合が急務
- ■ 企業・経済界への期待
- キャリアパスの可視化で人材損失を防ぐ
- 職場での日本語教育の環境整備を期待
- ■ 共生社会実現のために先行事例から学ぶ
- ■ 外国人が活躍できる社会に向けて