世界は今、「力の時代」へと傾いている。1月に開かれたダボス会議においても、経済・技術・安全保障が絡み合う中で、各国が自国に有利な秩序を求めてせめぎ合う空気を肌で感じた。市場規模や資源、軍事力が交渉力を左右する現実のもと、日本の活路となるのは、日本が培ってきた固有の優位性を軸に、国際社会から「日本がいなければ成り立たない」と見なされる「不可欠性」を築くこと、そしてこの不可欠性を軸に地政学上重要な国・地域と戦略的なパートナーシップを構築することである。
不可欠性を築く鍵となる日本の競争力の源泉とは何か。通底するのは「日本品質」であり、その源泉は、製品開発における「すり合わせ力」と、顧客接点における「おもてなしの精神」にある。相手起点で細部まで調整し、約束を守り抜く姿勢は、確かな信頼を生んできた。そしてこれらの力はAI時代において人間ならではの価値として再定義される。例えば、金融の現場において、AIは瞬時にそれらしい答えを導き出せるが、お客さまの表情や沈黙から感情をくみ取り、共感と倫理観をもってその提案を安心へと変える力がなければ、真のニーズには応えられない。
国と民間が日本の優位性を最大限に発揮できる分野に集中的に投資することで「国としての不可欠性」を確立することは急務だ。同時に、企業や個人もまた、時代の変化に合わせて自らの得意領域や強みを再定義し、「個としての不可欠性」を築くことに挑戦することが重要である。挑戦する企業・個人を社会全体としてもっと支援しなければならない。
ひたむきさは日本の長所だ。国と民間が協働し共に挑戦を続けることで、日本はこれからも輝き続ける。