人口減少とエネルギー問題が日本のボトルネックであることに異論はないであろう。特に人口減少は、地方においてすでに大きな問題となっている。JR東日本の営業エリアは、首都圏と東北・上信越であり、わがこととして、この課題に向き合ってきた。人口減少下で持続可能な経済社会を構築するために、何をなすべきか考えてみたい。
進学・就職を契機に地方から都市部へ流出する若者は多いが、特に女性の地方離れが顕著であり、構造的に地方の人口減少に拍車をかけている。その主たる理由に、魅力ある働く場の不足が挙げられている。魅力的で競争力のある産業を創出・育成することが一番であるが、一方で地域社会を支えるエッセンシャルサービスの職場を含め、女性、高齢者、外国人といった多様な人材が活躍できる環境の整備も重要となる。
また、地域産業の活性化には、ローカルスタートアップの育成も不可欠となる。JR東日本では地域に根差した事業に取り組むローカルスタートアップとの協業推進を目的としたファンドを組成し、出資を行っている。また「TAKANAWA GATEWAY CITY」内の産学官が連携するビジネス創造拠点「LiSH」を地方に展開するなど、都市圏と地方をつなぐ広域スタートアップエコシステムの構築に取り組んでいる。こうした産学官および都市と地方をクロスさせた新たな価値の創出が可能性を広げると信じている。
地方の重要な産業としては、裾野の広い観光業も挙げられる。近年は特にインバウンド対応が重要で、休日だけでなく平日にも人の流れが生まれ、地域の通年雇用の確保にもつながる。しかし、オーバーツーリズムや繁閑の差の大きさから、年間を通じた安定的な収入につながらないという課題もある。また、インバウンドだけに頼らないためには、国内の休日分散も有効な手段となる。
加えて、地域経済活性化の基盤となるのが、二次交通を含めた持続可能な地域交通の整備である。すでに鉄道がその役割を担えなくなっている地域は多いが、バスやタクシーについても、ドライバー不足により維持が困難となっている。MaaSやライドシェアなどの仕組みの構築が必要であるが、実装に向けては、財源や働き手不足等の課題をどう解決していくかが問われる。
これらの課題が一挙にクリアされることはないが、人口減少のトレンドがより深刻になっている現状を直視し、国、自治体、企業が一体となって取り組むことにより、一歩でも前進していきたい。