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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月27日 No.3167 OECDのシュライヒャー教育局次長から日本の教育の課題を聞く -PISA・PIACCの最新調査結果をもとに

経団連は13日、東京・大手町の経団連会館に経済協力開発機構(OECD)のアンドレアス・シュライヒャー教育局次長を招き、OECDが実施している「生徒の学習到達度調査(PISA)」、ならびに「国際成人力調査(PIACC)」の最新の調査結果に関する説明を聞くとともに、日本の教育の課題について意見交換した(座長=岩波利光教育問題委員会企画部会長)。

PISAは、義務教育修了段階の15歳を対象にOECDが3年に1回、生徒の読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について、学習した知識や技能を実社会で直面する課題の解決にどの程度活用できるかを調査するもの。2012年調査には、世界65カ国・地域から50万人以上の生徒が参加した。他方、昨年初めて実施されたPIACCは、24カ国・地域の16歳から65歳の成人16万6千人を対象に「読解力」「数的思考力」と「ITを活用した問題解決能力」を調査した。

■ 学習した知識・技能と将来のキャリアを結びつけるうえでの課題

12年PISA結果についてシュライヒャー次長は、「読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーのすべてで日本は、前回調査より順位を上げて上位グループに入っており、また、学習機会が社会に平等に提供されていることも評価される」としつつ、「数学を学ぶ動機づけに関して、数学が将来の仕事に役立つ、もしくは、将来の仕事の可能性を広げてくれると考える生徒の割合はOECD加盟国中最も少なく、数学や科学の知識を自分たちの将来のキャリアに結びつけて考えていないことに課題がある」と指摘した。

■ 高い能力を仕事で活用するうえでの課題

PIACC結果については、「読解力、数的思考力の分野で日本は24カ国・地域中トップの成績で、ITを利用した問題解決能力では10位と、すべてのスキルで日本人の能力が高いことが示された。他方、米国はどれも平均以下である」と説明。そのうえで、「仕事でのスキルの活用に関しては、仕事でITや数的思考力、問題解決能力を使用する頻度は、日本は平均以下であり、アメリカはすべて平均以上である」ことを指摘し、「スキルは、社会で有効に使われて初めて社会的・経済的成果を生み出すことを考えると、日本は高いスキルを社会で活用する面に課題があり、逆に米国は、スキルを社会で最大限活用することに優れている」と分析した。

そして「今後、日本でスキルの効果的な活用を促進するためには、育児や介護を抱える労働者や、障害を持つ労働者に合わせた柔軟な雇用契約を結ぶことや、高齢労働者の雇用継続の促進などを進めるべき」と指摘するとともに、「21世紀型社会で求められる能力は、知識ではなく、創意工夫をして問題を解決する能力や、人と協働して意思疎通を図る力、ITを使いこなす能力、起業家精神などであり、今後の日本の教育の課題は、それらの能力をいかに養成していくかにある」と述べた。

【社会広報本部】

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