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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年6月19日 No.3181 観光立国の実現に向けて議論 -観光委員会

経団連の観光委員会(大塚陸毅委員長、山口範雄共同委員長)は2日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催。久保成人観光庁長官から、観光立国実現に向けたわが国の現状と課題等について説明を聞き、懇談した。

久保長官は、昨年わが国が初めて達成した訪日外国人旅行者1000万人の内訳について、東アジアからの旅行者が大半を占めるなか、近年東南アジアからの旅行者が目覚ましく増加していることを説明。アジアに注目が集まる一方、成熟した欧米観光市場へのアプローチを今後の課題とした。

直近の訪日外国人旅行者数は4月実績で123万人(前年同月比33.4%増)と、単月の外国人旅行者数として過去最高の数字を記録、5月も好調に推移している。増加要因について久保長官は、アジア経済の成長や航空路線の増便、円高是正等といった要因があるものの、国を挙げて取り組んできた訪日プロモーション活動が実を結んできた成果と分析した。

また、観光振興に向けた各方面の最近の取り組みとして、昨年12月の税制改正大綱による今年10月からの免税対象品目拡大、公衆無線LAN環境の整備・改善、多言語表記に関するガイドラインの策定等を挙げ、外国人旅行者受け入れの環境整備が着実に進捗していることを強調。国際会議の誘致についても、日本での開催件数が伸びていることに触れ、「グローバルMICE戦略都市」と位置づけた東京・横浜・京都・神戸・福岡の5都市を集中的に支援し、誘致拡大に向け引き続き力を入れていくと述べた。

安倍総理が今年1月の観光立国推進閣僚会議で示した2020年訪日外国人旅行者2000万人の目標に対しては、経済成長著しいアジア、特に日本の周辺諸国で増加する富裕層を取り込むだけでは達成できないとし、航空路線網のさらなる充実と出入国手続きの改善をはじめとする一連の準備が必要と指摘。また、昨年のASEAN諸国に対する査証発給要件緩和が訪日旅行者の増加の大きな原動力となったことを踏まえ、引き続き観光庁として、より一層の査証発給要件の緩和を求めるとした。加えて、訪日プロモーションの重点的・機動的な実施が重要であり、そのための予算も必要になると述べた。

懇談では委員から、(1)わが国の持続的な観光発展に向けたリピーター客の取り込み施策の検討(2)官民一体となった取り組みのさらなる強化(3)情報発信・収集媒体としてのスマートフォンを中心とするICT技術の観光への積極的な活用――等について意見が出た。

【産業政策本部】

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