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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年11月5日 No.3245 米国証券取引委員会のピノワー委員との懇談会開催 -金融・資本市場委員会企業会計部会

説明するSECのピノワー委員

経団連の金融・資本市場委員会企業会計部会(野崎邦夫部会長、逆瀬重郎部会長代行)は10月19日、東京・大手町の経団連会館で米国証券取引委員会(SEC)のピノワー委員との懇談会を開催し、現在のSECにおける開示規制の動向や米国における国際会計基準(IFRS)への対応について説明を聞くとともに、意見交換を行った。ピノワー氏の発言の概要は次のとおり。

■ SECの開示規制の動向

SECは、世界金融危機を受けて5年前に金融規制を強化するために成立したドット・フランク法への対応に追われている。ドット・フランク法の規制は膨大であり、400本の法律のうち100本がSECの担当である。具体的な規則のつくり込みは、3分の2ほどしか進捗していない。

ドット・フランク法と一緒に新規産業や中小企業への資金調達支援のための法整備も行っており、そのなかで、情報開示の改善も行った。

■ 米国におけるIFRSへの対応

2年前にSECの委員長に就任したホワイト氏は、SECはIFRSについての共通した意見を発信するべきと主張した。これを受けて昨年12月に、SECのシュヌアー主任会計士は今後の米国におけるIFRSへの対応として、強制適用でも任意適用でもコンドースメント・アプローチ(IFRSを米国基準に取り込んでいく考え方)でもない第4の選択肢、「米国基準を適用している企業において、米国基準との調整表なしにIFRSに基づく財務諸表を任意で開示できるようにする」という提案を行った。

提案が実行されれば、投資家のIFRSへのニーズ次第で企業がIFRSにおける開示を行うか否か判断することになる。結果的に投資家のIFRSへのニーズがわかることとなり、今後の米国におけるIFRSへの対応を考える貴重な材料を提供することになる。12月にはこの提案についての具体策を提示したい。

◇◇◇

説明後、活発な意見交換が行われ、参加企業から、米国市場に上場している海外企業では海外の法制度にも配慮した柔軟な規制としてほしいといった要望や、現在SECの規則で求めている開示項目には、イランとの取引に関する開示など投資家への情報提供としては適当ではないものが含まれており、企業にとって大きなコスト負担となっているとの指摘があった。

また、IFRSと米国基準とのコンバージェンス作業(共通化作業)がうまくいかず、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)とで別々の基準が開発されるケースが散見されることから、統一した基準が開発されるように、SECからも働きかけてほしいとの意見が出された。

【経済基盤本部】

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