経団連および経団連自然保護協議会は２月２０日、「生物多様性に関するアンケート―自然の恵みと事業活動の関係調査」の２０１６年度調査結果を公表した。２０１０年１０月に名古屋で開催された「生物多様性条約第１０回締約国会議（ＣＢＤ―ＣＯＰ１０）」において「愛知目標」が定められ、２０２０年に向けて「生物多様性の主流化」を目指すこととしている。同協議会は、２０１１年度から毎年度、生物多様性に関する民間部門の認識や取り組み状況の把握、取り組み事例の共有を図るため、調査を実施してきたが、今年度から対象を経団連会員企業に拡大して実施した。
調査結果の主なポイントは次のとおり。

1. 「生物多様性」の意味を知っている経営層は９割超に及ぶほか、生物多様性保全等の概念を経営理念等に盛り込んでいる企業は約８割。
2. 過半数の企業が、生物多様性に関する宣言や行動指針等を作成し、事業活動への組み込みや関連技術開発等を推進。
3. 約８割の企業が生物多様性に関する情報を公開。
4. ＩＳＯ１４００１は、２０１５年改正により、生物多様性に関する配慮義務が盛り込まれた。約７割の企業が２００４年版を保有しており、今後２０１５年版に移行することで、生物多様性主流化の後押しになると期待。
5. ８割超の企業が定量的ないし定性的な目標を設定。生物多様性に関する定量目標設定の難しさが確認され、まずは、定性的な把握に努めることが重要。
6. 生物多様性の主流化を進めるうえでの課題として、「事業の利益に結びつきにくい」こと等を指摘。生物多様性との関わり方は、企業価値全体の向上を見据えた長期的視点や、多様なアプローチが必要。
7. 「経団連生物多様性宣言行動指針」で掲げた多様な取り組みを各社が実践。４５０超の具体的な活動事例が寄せられ、今後、各社の参考となることを期待。

経団連および経団連自然保護協議会では、生物多様性の主流化に向けた取り組みの一環として、２０２０年度まで調査を継続し、各企業による活動の着手・充実につなげていく。

【環境エネルギー本部】