1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2019年9月26日 No.3424
  5. 金融庁の各種取り組みについて聞く

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年9月26日 No.3424 金融庁の各種取り組みについて聞く -金融・資本市場委員会資本市場部会

経団連は9月6日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会資本市場部会(松山彰宏部会長)を開催し、金融庁企画市場局から市場構造の見直しをはじめ、金融庁の各種取り組みについて説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 市場構造の見直し(池田賢志市場業務監理官)

東京証券取引所(東証)が3月に取りまとめた「現在の市場構造を巡る課題(論点整理)」を受け、金融庁では、5月に金融審議会の下に市場構造専門グループを設置し、さまざまな市場関係者からヒアリングを行い、検討を進めている。東証市場第一部の上場企業数はここ30年で約2倍に増加したのに対し、時価総額は1.5倍程度の増加にとどまるなど、成長を促す機能が十分でないことが課題の一つである。

◇◇◇

説明後に行われた意見交換では、経団連スタートアップ委員会スタートアップ政策タスクフォースの出雲充座長が、同タスクフォース名義で8月5日に公表した「スタートアップの成長を促進する上場市場のあり方」について説明した。(1)先行投資を優先するスタートアップの特性に鑑み、利益水準にとらわれず、時価総額や成長可能性、ガバナンス体制などを総合的に判断する上場基準へと見直すこと(2)機関投資家の資金が、上場したスタートアップに安定的に投資されるよう、新たなインデックスを創設すること――などを求めた。

■ インサイダー取引規制に関するQ&Aの見直し(豊永康史市場機能強化室長)

今年2月の資本市場部会での意見交換(3月21日号既報)を経て、金融庁は、インサイダー取引規制に関するQ&Aを見直し、7月に公表した。
(※ https://www.fsa.go.jp/news/30/shouken/20190729.html

役員・従業員の株式等の取引を過度に制限している社内規則の見直しに向け、改訂版Q&Aでは、インサイダー取引に該当しない具体例を明記するなどとし、社内規則の再点検を呼びかけた。

■ 決済業務の高度化(尾川豊決済高度化調整官)

決済業務の高度化を通じた企業の生産性向上や業務効率化に向け、官民を挙げた取り組みが展開されている。

産業界の要望を受けて昨年12月に稼働した、全銀EDIシステム(ZEDI=ゼディ)は、その一つである。ZEDIを使うことで、銀行振込の際にデータに受発注や請求などの商流情報を付帯でき、売掛金の消込作業や問い合わせ対応などの効率化が図られる。

電子記録債権(でんさい)の活用も期待される。でんさいは、従来の紙媒体の手形の機能を電子化したものであり、事務負担の軽減や搬送コストの削減、印紙税が課税されないなどのメリットがある。

ZEDIやでんさいのメリットを享受するには、支払側・受取側企業双方のシステム対応等が必要である。利用企業が多いほど大きな効果が期待できるため、大企業においては、取引先の中小企業も含めたバリューチェーン全体の効率化・生産性向上を図る観点からも、導入を検討してほしい。

【経済基盤本部】

「2019年9月26日 No.3424」一覧はこちら