1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2020年3月19日 No.3447
  5. 提言「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて―2019年度版」を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2020年3月19日 No.3447 提言「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて―2019年度版」を公表

経団連は3月17日、提言「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて―2019年度版」を公表した。経団連では、会員企業等へのアンケートに基づき、毎年度インフラシステムの海外展開にかかるわが国経済界の要望を取りまとめ、政府の「インフラシステム輸出戦略」改訂への反映等を通じて、質の高いインフラシステムの海外展開の促進を図っている。

■ Society 5.0時代のインフラシステムの海外展開

現在、わが国ではSociety 5.0の実現に向けた取り組みを官民一体で展開している。とりわけインフラは人々の生活および経済活動の基盤であり、その整備は包摂的で持続可能な発展に不可欠である。また、世界のインフラ需要が拡大を続けるなか、日本の高い技術力やノウハウを活かした質の高いインフラの海外展開は、SDGs(持続可能な開発目標)の実現とわが国の持続的な成長に貢献するものでもある。

このような観点から、わが国政府は質の高いインフラシステムの海外展開を重要な成長戦略・国際戦略の一つと位置づけ、経協インフラ戦略会議において「インフラシステム輸出戦略」を策定し、官民連携のもとで具体的施策を推進するとともに、進捗を踏まえ同戦略を毎年度改訂している。経団連では引き続き、具体的な制度改革や支援策の充実を求めるとともに、現在政府内で検討中の2020年以降の新戦略に反映されるよう働きかけ、官民一体となった質の高いインフラの海外展開促進に取り組む。

■ インフラシステム受注拡大に向けた要望

(1)日本政府・関係機関への要望

インフラシステムのさらなる海外展開の推進には、政府・関係機関による支援ツールを総動員した総合力の発揮が重要であり、今年度も強力なトップセールス、ODA事業費等の予算措置の充実、国際的ルールの整備・標準化、第三国市場協力の推進等を求めた。

加えて、近年のデジタルトランスフォーメーションの進展に伴う経済社会の急速な変化等を踏まえ、デジタル技術を活用しつつ各国・地域の社会的課題・ニーズ等に的確に対応したインフラ整備を促進していく必要がある。そのための環境整備として、自由なデータ流通のルール整備等のソフト・ハード両面での取り組みを提言した。

ODAについては、昨年導入されたインフラプロジェクトにおける運営・メンテナンス(O&M)単体への円借款適用について、更新期を迎えた設備・機器の補修・更新等、さまざまなかたちでの活用の推進を求めるとともに、ハイスペック円借款や本邦技術活用条件(STEP)の活用事例の拡充を求めた。同時に、PPP(官民パートナーシップ)支援の拡充として、ODAと民間投資をパッケージ化しインフラを面的に整備する「ハイブリッド型PPP」の推進等を提言した。

JICA海外投融資、JBIC投融資、NEXI等については、国際開発金融機関等との連携強化、リスクテークの拡充等を要望した。また、JICA海外投融資に関しては案件審査手続きの迅速化および予見可能性の向上に向け、JBIC先議の見直しを求めている。

(2)ホスト国の課題改善に向けた日本政府への要望

わが国企業はホスト国政府・発注機関等との間で多くの課題に直面している。とりわけ税金問題、現地政府負担事項の不履行、工事代金支払い遅延等の解決においては、わが国政府・関係機関によるホスト国側への改善要望の申し入れなど継続的な支援が不可欠である。また、入札制度をはじめとする法制度整備やビジネス環境改善、人材育成の強化を通じた、ホスト国側の質の高いインフラへの理解促進等を要望している。

【国際協力本部】

「2020年3月19日 No.3447」一覧はこちら