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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年2月25日 No.3489 コロナ禍における中南米の政治経済情勢 -林外務省中南米局長が説明

経団連は2月4日、最近の中南米情勢に関する懇談会をオンラインで開催し、外務省中南米局の林禎二局長から、コロナ禍における中南米の政治経済情勢等について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 中南米における新型コロナの感染状況と政治経済への影響

中南米では、ロックダウンや水際措置など厳格な対策を講じてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えられておらず、現在は新型コロナ対策の切り札としてワクチンへの期待が高まっている。2月1日現在、中南米7カ国で接種開始が確認されているものの、いまだ十分な量は確保されておらず、中国、ロシアからワクチンを入手しようとしている国もある。日本としても、ワクチン保冷設備の支援等を検討したい。

中南米経済は、新型コロナにより特に大きな打撃を受けている。世界銀行は、2020年の中南米地域の成長率が、新興国・途上国地域の中では最悪のマイナス6.9%になるとの見通しを示した。貿易額も対中輸出を除き、輸出入ともに大幅に減少する見込みである。

政治面では、現時点では、新型コロナによる政情不安、政権支持率の大幅な低下などは確認されていない。一方、今年は、いくつかの中南米諸国で大統領選挙が実施されるため、動静を注視する必要がある。

■ 中南米諸国と主要国との関係

中国は、コロナ禍においてもオンラインを活用し積極的な外交を展開している。貿易面でも、中国は中南米諸国において圧倒的存在感を示すようになっている。投資面では、いまだ欧米の存在感が強い。中国の投資は透明性が欠けており、公表されている数字のみで実態を把握することは困難である。

米国新政権の対中南米政策はまだ明らかではないが、これまでの発言などを踏まえれば、周辺国と連携したかたちでの中米移民問題への取り組みや、対キューバ政策の転換などが想定される。中南米諸国の米国への期待も総じて高い。今年米国で開催される米州首脳会議で何が打ち出されるのか注目している。

■ コロナ禍におけるわが国の対中南米外交

コロナ禍を受け、日本政府もオンライン等による外交活動を強化している。昨年11月には、新たな枠組みとして、「日米伯協議」を立ち上げた。ブラジル現政権は、日米と組み、地域やグローバルな課題に取り組む姿勢を示しており、同枠組みを通じてブラジルをこの方向に引きつけていきたい。

日本政府は、二国間および国際機関を通じて、中南米諸国の保健・医療体制の強化のための支援や、日系人が経営する病院への支援等も進めている。

1月の茂木敏充外務大臣の中南米諸国訪問は、各国と、自由で開かれた国際秩序の維持・拡大のための連携強化を確認するとともに、日系進出企業のビジネス環境の改善を要請するなど、大変意義ある訪問であった。中南米諸国との経済関連条約も重要であり、コロンビアとのEPA交渉の推進や、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の発効に向けたチリ・ペルーへの働きかけなどに継続して取り組む。

【国際協力本部】

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