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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年3月25日 No.3493 OECD・BIACの活動に関する懇談会を開催

岡村大使

経団連は3月3日、OECD・BIACの活動に関する懇談会(座長=稲垣精二OECD諮問委員長)をオンラインで開催した。自由主義経済の発展を目的として結成されたOECD(経済協力開発機構)は、今年、新たな事務総長のもとで創立60周年を迎える。経団連は、OECDの公的諮問機関であるBIAC(Business at OECD)への参画を通じ、OECDの活動に積極的に関与してきた。

会合では、BIAC日本代表委員からの活動状況に関する報告に先立ち、岡村善文OECD日本政府代表部特命全権大使から、最近の主要な課題やOECDに対する期待について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

EUでは、政策決定にあたり加盟国間で交渉・調整が行われるが、日本の場合、このような地域機関に加盟していないため、多国間での調整という発想がEU諸国に比べれば乏しい。しかし、グローバリゼーションが進展するなか、日本としても世界の潮流を取り込みつつ、共通の規範づくりに関与していく必要がある。OECDは、専門家による分析や分野横断的な検討を通じ、各国政府単独での対応が難しい、グローバルで新たな課題にかかるルールづくりを先導している。この世界最大・最高品質のシンクタンクは、日本にとって世界への窓口となる重要な組織である。

以上を踏まえ、最近のトピックを3点紹介する。

第1に、欧州では環境、気候変動が一般市民含め関心事項となっている。日本企業にとっては、カーボン・ニュートラル技術などを売り込むビジネスチャンスになり得る一方で、自動車のライフサイクル規制やカーボン・プライシング、EUタクソノミーといった規制にも対応しなければならない。この点に関し、OECDでは、グリーンファイナンス投資フォーラムなど官民で意見交換する機会を提供しており、日本企業にとっても有用ではないか。

第2に、責任ある企業行動の確保に向け、市民社会の企業に対する不信感が高い欧米では、特定の行動を義務化する傾向がある。これに対し、日本では経団連企業行動憲章や各社ごとの社是に基づき、自然と企業倫理の徹底が図られている。とはいえ、グローバルなサプライチェーンでつながっているので、部品調達などを含めて注意する必要がある。OECDでは、このような企業の自主的取り組みを促進すべく、多国籍企業行動指針やデューディリジェンス・ガイダンス等を示している。

第3に、21世紀は「データを支配する者が世界を制する」といわれるとおり、デジタル化の進展により社会構造が変化しており、民主主義のあり方などを根本から変える可能性がある。OECDでは、デジタル課税やAIに関するルールづくりなど、このようなデジタル革新への対応を進めている。

格差の拡大や気候変動、少子高齢化などの時代の変化を背景に、これまで推進されてきた資本主義やグローバリゼーション、多国間主義への疑義が出されている。国家資本主義のもとで台頭する新興国経済とのパワーバランスも変わるなか、こうした時代の変化にもOECDは対応していかなければならない。

【国際経済本部】

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