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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年4月8日 No.3495 アフリカ開発に関する課題と展望

経団連は3月17日、アフリカ開発に関する懇談会(サブサハラ地域委員会=長坂勝雄委員長、加留部淳委員長)をオンラインで開催し、外務省アフリカ部の米谷光司部長から、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)に向けた今後のアフリカ開発等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ アフリカの概況

アフリカは、世界面積の22%を有し、その人口は現在の13.4億人から2050年に25億人(世界の26%)に達し、今世紀末まで増加が継続するといわれている。多くの人口と豊富な資源(石油・ガス、金属等)を背景に、新世紀に入り平均経済成長は年率約5%と、高い潜在力を秘めている。新型コロナウイルス感染症の影響で、20年のサブサハラ地域の経済成長率はマイナス2.6%であったが、21年にはプラス3.2%まで回復すると予測される。

進出日系企業数は、10年の520拠点から19年には910拠点まで年々増加している。欧米や中国からの直接投資が盛んな一方、日本は出遅れ気味である。

こうしたなか、従来アフリカには、紛争・政治的混乱や深刻な貧困、不均衡な開発など多様な課題が存在し、企業が進出を躊躇する要因にもなっているようだが、政情が安定している国もある。日本はアフリカを舞台にこれらの課題に対処し、国際貢献を実践している。こうした活動は、アフリカおよび国際社会の信頼獲得に直結するものである。今後は、アフリカ連合(AU)の「アジェンダ2063」や、アフリカ連合開発庁およびアフリカ開発のための新パートナーシップ(AUDA-NEPAD)、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)といったアフリカ自身の取り組みにも注目する必要がある。

■ TICAD8に向けて

1993年にわが国が立ち上げたTICADは、アフリカのオーナーシップと国際社会のパートナーシップの重要性を指摘してきた。時々の課題を取り上げて議論を深め、2019年の横浜でのTICAD7では、経済、社会、平和と安定を3つの柱に据え、社会課題の解決を含め、民間セクターの役割を明確に位置付けた。

新型コロナの感染拡大により、アフリカの脆弱性が明らかになり、人間の安全保障への脅威が増大している。その一方で、デジタルトランスフォーメーション(DX)やスタートアップビジネスの伸長など、アフリカに芽生えていた変化が一気に加速しつつある。

アフリカが抱える諸課題を解決し、持続可能な開発目標(SDGs)の実現等につなげていくためには、民間企業、政府、国際機関等のパートナーシップが不可欠である。来年のTICAD8に向けて、官民一体となって、保健・医療、DX、グリーン経済などさまざまな取り組みを進めていきたい。

【国際協力本部】

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