Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年7月22日 No.3508  「Trusted Web ホワイトペーパー ver1.0」と今後の取り組み -デジタルエコノミー推進委員会企画部会

経団連は6月30日、デジタルエコノミー推進委員会企画部会(浦川伸一部会長)をオンラインで開催し、内閣官房デジタル市場競争本部事務局の佐野究一郎参事官から、「Trusted Web ホワイトペーパー ver1.0」の内容と今後の取り組みについて説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ Trusted Webが実現する未来

従来のインターネットでは、データをやりとりする相手やデータそのものの信頼性を限定的にしか検証できず、フェイクニュースによる社会混乱や、生体情報も含めたデータの集約・統合によるプライバシーリスクなどの課題が生じている。

こうした問題を解決すべく、データの信頼性を検証する仕組みを取り入れたTrusted Webの検討を進めている。Trusted Webは、開示するデータを本人がコントロールできるようにし、データのやりとりにおける合意形成の仕組みを取り入れることでTrust(注1)を高めるウェブアーキテクチャーのことである。

Trusted Webを構成する主な機能には、第三者によるレビューを受けた自身の属性(卒業証明や検査結果、信頼度など)を必要な範囲で相手に開示できる機能や、発行者に照会なく相手の属性を検証できる検証機能がある。このほかにも、データのやりとりをする際に双方でさまざまな条件を柔軟に設定して合意形成できる機能や、合意事項の履行をモニタリングする機能を備えている。

Trusted Webにより、まだ信頼関係を築いていない当事者間での合意形成が容易になり、多様な主体による新しい価値が創出される。将来的には、データ社会における「信頼」が再構築され、DFFT(注2)の実現にもつながっていく。

■ Trusted Web実現に向けた道筋

今後の検討課題としては、Trusted Webの主な機能の具体的な仕組みやガバナンスのあり方、ユースケースをもとにした具体的なアーキテクチャーとその実装の検証などが挙げられる。2025年から各分野でTrusted Webの実装を始め、30年にはインターネット全体で実装できるよう、ホワイトペーパーをたたき台として、内外のコミュニティーと協働しながら課題の検討を進めていきたい。

(注1)相手が期待したとおりに振る舞うと信じる度合い(Trusted Web ホワイトペーパー ver1.0より)

(注2)DFFT(Data Free Flow with Trust)=2019年のダボス会議で日本が提唱した自由で開かれたデータ流通とデータの安全・安心の確保を目指すコンセプト

【産業技術本部】