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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年7月29日 No.3509 わが国における人口の見通し~社会はどう変わるのか -人口問題委員会企画部会

経団連は7月9日、人口問題委員会企画部会(手島恒明部会長)をオンラインで開催し、国立社会保障・人口問題研究所の岩澤美帆人口動向研究部長から、「わが国における人口の見通し」と題し、超長期・中長期・短期の視点でみたわが国の人口の歴史的推移や人口変動のメカニズム等について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 超長期(奈良時代~近代・未来)

日本の人口の歴史的推移をみると、奈良時代の500万人程度から室町時代までは大きく変わらず、江戸初期から中期までの平和な時代にゆっくりと人口が増えた。明治初頭からは近代化に伴い、約3500万人から約1億3000万人まで急激に増加した。今後、人口は大きく減少すると推計されており、現在の水準でとどまることは想定されていない。われわれは、人口減少という歴史上まれにみる特別な時代に生きている。

■ 中長期(現在からみた前後100年間)

将来人口は、過去の人口動態で決まるため急には修正できない。しかし、将来人口推計は確度が高いため、われわれは未来を予測して備えることができる。

多産少死で人口が急増する時期を「人口ボーナス」と呼ぶ。子どもや高齢者が全人口に占める割合が低いため経済成長のチャンスだが、どんな国でも一度しか到来しない。

日本は1990年代に「人口ボーナス」を迎えた。今後は、高齢者の占める割合が跳ね上がる「人口オーナス」に耐えていく必要がある。一方、インドやアフリカ諸国は、これから「人口ボーナス」を迎える。

■ 人口構造が規定する今後の日本の社会像

高齢化率の上昇・長寿化に伴い、年齢の高い高齢者や単身の高齢者が増える。特に都市部の高齢者人口の増加が注目される。

一方、子どもを産む年齢層の人口が減少し、今後出生率が上がっても出生数は減り続ける。子どもの数の減少は、子育て関連の市場やサービスの縮小を招き、子育て負担の増大をもたらす。それによってさらに少子化が進むという負のサイクルに陥り、子どもにとって一層不利な社会になることが懸念される。

■ 短期(新型コロナによる影響)

これまでは、震災等の外的ショックが発生した場合、発生後に出生数が減少するものの、数年内に元に戻る傾向があった。そのため、中長期の時間軸でみれば影響がなくなるとも考えられる。しかし、今後、新型コロナウイルス感染症の影響が長期間続く場合は、より影響が大きくなることもあり得る。

■ 人口問題を考える際の心構え

少子化対策等現在の取り組みは、30年後に人口構造上成果が表れるものであり、変化は緩慢である。

心構えとしては、「急には変わらないので、少子化対策はこつこつやっていくしかない」「人口減少という変えられない未来については対応策を考えていくしかない」という2点である。

【経済政策本部】

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