1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2021年10月21日 No.3518
  5. 提言「今後の医療・介護制度改革に向けて」を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年10月21日 No.3518 提言「今後の医療・介護制度改革に向けて」を公表

経団連は10月12日、提言「今後の医療・介護制度改革に向けて」を公表した。提言は、今後の高齢化等の進行に対応するため、継続的な社会保障改革の実行が不可欠であるとし、2024年度までに次なる改革の実施を求めている。概要は次のとおり。

■ さらなる社会保障制度改革の必要性

わが国ではこれまで、「社会保障と税の一体改革」や「全世代型社会保障改革」など、累次の社会保障制度改革が進展してきた。しかし、さらなる高齢化などにより、今後も医療・介護給付費は増加する見込みである。その水準は、政府推計によると、40年に向け経済成長を上回るペースの増加となる見通しである(図表参照)。このうち、高齢者向けの医療・介護給付費の増加は、現役世代が負担する保険料の伸びにつながり、可処分所得拡大の足かせとなっている。こうした状況は、社会保障制度の持続可能性のみならず、経済社会にも悪影響を与えかねない。制度の持続可能性を確保し、現役世代の負担上昇を抑制する観点から、さらなる社会保障制度改革に間断なく取り組む必要がある。

■ 医療・介護制度改革の基本的な考え方

次なる改革は、医療・介護に関する中期的計画(医療費適正化計画、医療計画、介護保険事業計画など)の新たな始期となる24年度を見据えて進める必要がある。

改革の具体的な方向性について、まず、医療分野においては、効果的・効率的な医療提供体制の構築を通じ、医療費の伸びを抑制すべきである。そのためには、都道府県が主体となり、人口動態の変化なども踏まえつつ、医療機能の分化・連携や分散する医療資源の集約化などを進める必要がある。こうした改革は、コロナ禍で課題となった医療の逼迫への対応などにも有効である。

また、介護分野については、利用者負担の見直しなど、給付の適正化に向けた改革が不可欠である。あわせて、今後、生産年齢人口が減少するなか、センサー等新たな技術を活用しながら介護現場の生産性向上に取り組むことが重要である。

■ 改革推進に向けた効果的な検討体制づくり

社会保障制度改革は、個別テーマごとの調整に終始することなく、分野横断的に検討する必要がある。これまでこうした検討の推進役を担ってきた政府の「社会保障制度改革推進本部」(本部長=内閣総理大臣)が22年1月に設置期限を迎えることから、これの後継機関を設置すべきである。そのうえで、まずは、24年度に向けた対応を進め、さらに、中長期視点で「ポスト社会保障と税の一体改革」について腰を据えて検討する必要がある。その際は、他の政府関係会合(関係審議会等)とも連携しながら、明確な検討スケジュールを掲げて改革を着実に進めていくべきである。

【経済政策本部】

「2021年10月21日 No.3518」一覧はこちら