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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年10月21日 No.3518 都市・住宅分野のカーボンニュートラルに向けた課題 -都市・住宅政策委員会企画部会

経団連は10月6日、都市・住宅政策委員会企画部会(横本美津子部会長)をオンラインで開催し、三菱総合研究所サステナビリティ本部脱炭素ソリューショングループの小川崇臣シニアコンサルタントから、都市・住宅分野のカーボンニュートラル(CN)に向けた現状や課題等について聴いた。概要は次のとおり。

■ CNに向けた現状

世界的にCNに向けた社会の潮流が加速するなか、日本政府は2013年度比で30年度までに、業務その他部門は51%、家庭部門は66%のエネルギー起源CO2排出量の削減を目指すこととした。都市・住宅分野においても、企業に対する要請が強まっている。すでに企業ではCNに向けた取り組みを進めており、13年度以降、業務その他部門、家庭部門ともにCO2排出量は継続的に減少傾向にあるものの、上記削減目標のハードルは高く、さらなる取り組みの深化が期待されている。

■ 求められる取り組み

都市・住宅分野のCNに向け、政府は「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会 とりまとめ」において、(1)省エネ対策の強化(2)再生可能エネルギーの導入拡大(3)木材の利用拡大――などの施策を示している。既存建築物の省エネ改修や再生可能エネルギー設備の導入のみならず、行政の支援等のもと、特にCO2排出削減効果のある住宅・建築物の新築建替時のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)水準の実現を促進することが重要であろう。

さらなる大幅削減を進めるためには、自社・自業界だけではなく、サプライチェーン全体(企画・設計、施工、運用、解体・廃棄)で業界横断的な連携を強化し、都市・住宅分野全体として共通の指針を持って取り組むことが必要と考える。あわせて、素材メーカーや設備機器メーカーなどとも排出量把握で連携していく必要があるだろう。

また、都市・住宅は社会のインフラであることから、まちづくりを通じて、そのインフラを利用して働き生活する就業者、住民、来街者、テナントとして入居する企業等の行動変容を促していくことも重要である。例えば、ビルで利用する電力について、再生可能エネルギーも選択肢の一つとして各入居者が選べる取り組みが始まっている。電力源が選べるようになれば、最終消費者はグリーンなエネルギーを選好しやすくなる。

【産業政策本部】

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