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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年10月21日 No.3518 改革を進める中国 -日本企業は戦略的事業展開により共に発展を/中国委員会企画部会

瀬口氏藤末部会長

経団連の中国委員会企画部会(藤末浩昭企画部会長)は9月28日、オンラインで会合を開催し、キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹から、中国のマクロ経済情勢ならびに米中対立下における日中関係の現状と展望について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 中国のマクロ経済情勢

中国のGDPは、IMFの推計によると、2026年に米国の9割程度まで近づく見込みだが、足元の成長率は鈍化傾向が続いている。

少子高齢化の加速、都市化の減速、大規模インフラ建設の減少、国有企業の業績悪化等を理由に、中国の高度成長期は25年前後に終焉を迎え、その後は経済の不安定化リスクが高まると予想されている。

■ 中国国内の構造改革の現状とCPTPP加入申請

習近平政権は17年、経済成長率重視から経済社会の質の向上重視へと政策の方針を転換した。そのカギを握る改革として、財政・金融リスクの防止、貧困からの脱却、環境改善を掲げ、取り組みを進めている。

また、経済格差を是正する「共同富裕」の実現を重要な目標と位置づけている。独占的地位を利用して巨額の利潤を得ているプラットフォーマー企業、教育費増加や住宅価格の高騰により市民生活を圧迫している教育産業や不動産業界への締め付けを強化している背景には、この目標がある。今後数年のうちに不動産保有税、相続税等を導入することで、さらに本格的に所得再分配に取り組むとみられる。

9月16日、中国は正式に環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加入を申請した。一般的に指摘されている、米国の離脱を好機としたアジア太平洋地域における影響力拡大という目的に加え、CPTPPを外圧として国内の抵抗勢力を抑え、習近平政権が目指す国内改革のテコにするねらいがある。CPTPPへの加入には、国有企業優遇政策の制限、データ越境移転の自由化、自発的な労働組合結成の権利承認等、高いハードルをクリアする必要がある。しかし、それが国有企業、地方政府等の抵抗勢力の反対を押し切って改革を断行するチャンスとなる。

■ 米中対立下の日中関係と日本に求められる役割

日本にとって米国と中国は、ともに重要なパートナーであり、米中対立下においても、日本は両国とのバランスを重視した外交を展開すべきである。また、日本は仲介役として米中関係の改善に貢献できるはずである。欧州も日本と同様、米中双方との良好な関係構築を望んでいる。そのため、日欧が緊密に連携を深めていくことは、大きな意義を持つ。

中国国内市場のニーズは高付加価値化、高価格化、多様化しており、日本企業の得意分野が拡大している。所得の伸びも急速で、世界の一流企業が積極的に投資を拡大している。そのような状況にもかかわらず、日本企業の本社経営層や中国現地最高責任者の中国市場に対する認識は、必ずしも十分でないようだ。また、対中投資に慎重な本社と積極的にチャンスをつかみたい現地子会社との隔たりが目立つ企業も多い。問題解決のためには、トップが率先して組織と意識の抜本的な改革に取り組み、情報収集力不足、判断力低下などの構造的弱点を修正することが必要である。中国の発展は日本の発展であり、日本の発展は中国の発展であることを忘れてはならない。

【国際協力本部】

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