経団連は10月22日、サブサハラ地域委員会(大橋徹二委員長、加留部淳委員長)をオンラインで開催し、国際協力機構(JICA)の中村俊之理事から、今後のアフリカ開発の課題と展望について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ アフリカにおける新型コロナウイルス対策に協力
JICAは、世界保健医療イニシアティブとして、ウガンダなどでマスクや医療資機材等の供与など治療体制の強化、ガーナの野口記念医学研究所における研究の支援を行った。また、各国における円滑なワクチン接種体制の構築を目的とする「ラストワンマイル支援」では、保冷設備やワクチン運搬用車両などの機材供与を通じたコールド・チェーンの整備を実施中である。引き続き、施設の整備支援、感染症対策のラボ機能強化、人材育成など、予防、治療、警戒の三本柱での対策を強化していく。
■ 地域統合支援、インフラ開発で成果
2013年のTICADⅤ以降、JICAは戦略的マスタープランを策定し、モンバサ・北部回廊、ナカラ回廊、西アフリカ成長地域をはじめとする回廊開発を推進している。また、ワン・ストップ・ボーダー・ポスト協力等を通じて、アフリカ域内の物流の効率化と短縮化等に貢献するなど、実績を上げている。
■ デジタル化とスタートアップ支援で社会課題を解決
JICAは、起業家支援として「Project NINJA」を立ち上げ、社会課題解決をビジネスとして展開するアフリカ人起業家を育成している。日系をはじめとする民間企業と連携し、多くの国でそれぞれの課題解決のためのオープンイノベーションを推進中である。また、将来の可能性を追求すべく、行政デジタルトランスフォーメーション(DX)ではセネガルの国民IDのデジタル化、医療DXでは日本とアフリカの医師をつないだ遠隔集中治療支援など、各種調査・事業を実施している。
■ 基幹産業の一つである農業を振興
アフリカの稲作振興のための共同体(CARD)において、08年から18年の10年間で、サブサハラアフリカのコメ生産を倍増させた。現在、新たなフェーズであるCARD2を展開しており、19年以降30年までの間に、コメ生産をさらに倍増させる計画である。また、市場志向型農業振興アプローチ(SHEP)では、06年からケニアにおいて、市場に対する農家の意識改革を行った結果、所得が大きく改善した。現在、ケニアのほかに世界31カ国に同様の取り組みを拡大している。今後は、TICAD8に向けて、食と栄養のアフリカ・イニシアティブ(IFNA)や、食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)などの活動を一層加速していく。
【国際協力本部】