経団連は11月24日、企業行動・SDGs委員会(二宮雅也委員長、中山讓治委員長、吉田憲一郎委員長)を開催した。小野啓一外務省大臣官房地球規模課題審議官から、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けたグローバル課題と日本外交をテーマに、日本政府が2021年7月に国連に提出した自発的国家レビュー(VNR)や11月のCOP26等の模様、12月の栄養サミットに向けた準備状況等について説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ HLPFにおけるVNRの発表
国連は、各国に対して、SDGs達成に向けた進捗に関する定期的なレビューの実施を促している。国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)は、SDGsの実施状況に関するグローバルレベルでのフォローアッププロセスとして位置付けられており、各国がVNRや自国の取り組みをアピールする場にもなっている。今年は、「コロナからの持続可能で強靱な復興」「SDGs達成のための包括的で効果的な道筋の構築」をテーマにオンラインで開催された。
日本は今年、17年以来2回目となるVNRを発表し、政府をはじめ地方自治体・公共団体、NGO、若者、企業など、さまざまなステークホルダーがビデオメッセージで日本の取り組みをアピールした。
■ 日本の進捗と課題
VNR作成にあたり、パブリック・コメントを実施した。政府の取り組みのうち、再エネの普及やESD(持続可能な開発のための教育)の推進等については評価する意見が挙げられた一方、ジェンダー・ギャップ、新型コロナウイルスによる女性を中心とした脆弱層への影響、自殺者の増加、相対的貧困率の高さなどの課題への対応が必要との意見も出された。
VNRを通じて明らかとなった進捗と課題を踏まえ、次の点に留意しながら取り組みを加速したい。
- 推進体制を強化するため、若者を含めた多くのステークホルダーの声の反映
- 目標・指標の整備を含めた、進捗評価体制の整備
- 日本の取り組みの国際展開、さらなる連携の推進
- 一人ひとりの行動変容を進めるための国内啓発
- 中長期的な進捗評価プロセスを踏まえたVNRの実施
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図表 実行の手引きとハンドブックの位置付け
意見交換後、委員間で「企業行動憲章 実行の手引き『第4章 人権の尊重』」の改訂と「人権を尊重する経営のためのハンドブック」の策定について審議した。
審議では、「企業を取り巻く課題はさまざまだが、人権や気候変動は、すべての企業に関係する最も重要な社会課題である」「人権への対応に必要な情報と、実情にあったアプローチが示されており、サプライチェーンにおける取り組みが促進されることを期待する」などのコメントがあった。
実行の手引きは、経団連の会員代表者など経営トップ向けを想定して、企業の自主的取り組みを促進する観点から、人権への取り組みの重要性を理解し、行動に移すうえで必要な事項を記載している。ハンドブックは、人権の担当役員や実務担当者向けを想定し、実践に役立つ、より具体的な情報を提供している(図表参照)。両者はともに、12月14日に公表した(詳報を次号に掲載予定)。
【SDGs本部】