Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年9月15日 No.3559  「2022年度規制改革要望―人・地域・グリーン」を公表 -あらゆる人材が活躍できる環境の整備に向けて

経団連は9月13日、提言「2022年度規制改革要望―人・地域・グリーン」を公表した(図表参照)。同提言はスタートアップをはじめ全会員を対象とする提案調査に基づいて取りまとめたもの。2021年度からの再要望事項も含め、63項目を挙げている。

Society 5.0の実現に向けた制度構築が急務となるなか、カギを握るのは「人」であるとして、あらゆる人材が活躍できる環境を整え、その価値創造力を最大化していくために必要な規制・制度改革に焦点を当てた。加えて、地域の活性化やグリーントランスフォーメーション(GX)の推進も盛り込んだ。

具体的な要望内容は次のとおり。

1.人の活躍促進

人の活躍促進については、4本の柱に分けて要望を整理した。第1は、「多様な働き方・キャリアへの対応」である。キャリアパスの多様化が進むなか、建設の監理技術者や電気主任技術者、水素スタンドの保安統括者をはじめとする資格の取得あるいは資格者の配置に際し、知見・能力を十分加味せずに形式的な学歴や経験年数等を要件とすることについて、見直しが必要である。

第2は、「スタートアップの躍進」である。世界最高水準のスタートアップフレンドリーな制度の実現に向けて、公共調達における参入障壁の緩和、外国人起業家の在留資格取得要件の緩和が欠かせない。

第3は、「外国人材の活躍促進」である。高度人材から現場人材まで、世界各国の優秀な人材を積極的に誘致し、活躍・定着してもらううえで、在留資格「特定技能」の対象分野の拡大や手続きの円滑化が必要である。

第4は、「健康を支えるヘルスケアサービスの多様化」である。個々のニーズに対応可能なサービスの実現に向けて、特に医師法に定める医行為の該当性の明確化・緩和が期待される。

2.地域活性化

多様な人材が活躍する分野として特に期待されるのが地域活性化であり、地域ならではの強みを活かせる規制改革が求められる。具体的には、物流サービスの高度化や無人化に向けた、無操縦者航空機の試験的商用飛行の実現、農業・地熱発電に必要な土地利用の要件緩和等を推進すべきである。

3.GX

50年のカーボンニュートラル実現という野心的な目標を達成するうえでは、規制改革が不可欠である。バイオガスや水素ステーション、低炭素化を実現した環境配慮型コンクリート等の新たな技術・サービスの活用促進とともに、太陽光・風力等の再生可能エネルギーの普及を後押しする制度改革が必要である。

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同提言の審議に先立ち、行政改革推進委員会(筒井義信委員長、時田隆仁委員長)は8月30日、内閣府の和田義明副大臣、林幸宏規制改革推進室長と規制改革の取り組みをめぐり懇談した。和田副大臣は、「国民や産業界の要望に基づいて規制をアップデートしていくことが重要」と述べ、産業界との緊密な連携に意欲を示した。

経団連は、引き続き内閣府、規制改革推進会議はじめ政府・与党と連携し、要望の実現に取り組んでいく。

【産業政策本部】