Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年11月17日 No.3567  モビリティ産業について関係閣僚と懇談

経団連モビリティ委員会の十倉雅和委員長、豊田章男委員長、有馬浩二委員長らは11月2日、総理大臣官邸を訪ね、岸田文雄内閣総理大臣、松野博一内閣官房長官、西村康稔経済産業大臣、斉藤鉄夫国土交通大臣、谷公一国家公安委員長、後藤茂之新しい資本主義担当大臣、西村明宏環境大臣はじめ、政府のモビリティ政策を担当する閣僚等と懇談した。

冒頭、西村経産大臣から、モビリティを軸にした成長と新たな社会の実現について、斉藤国交大臣から、未来社会の実現に向けた地域モビリティのポテンシャルの最大限の発揮について、政府の取り組みを紹介した。

これに対し、十倉委員長は、モビリティ産業は、裾野が広く、「分厚い中間層を復活させるうえでも大きな役割を担っている」と述べた。加えて、経団連モビリティ委員会の委員から、新たなモビリティサービスや技術に関する実証実験・実用化に向けた規制緩和、研究開発やインフラ整備への支援を望む声があること、政府の省庁横断的な取り組みや、国際的なルールづくりへの期待が寄せられていることを紹介。さらに、「アマラの法則」(注)を引き合いに、電動化や自動運転化が一気に進むと過大評価すべきではなく、トランジションの段階を踏むことが重要であるとしたうえで、過小評価せずにゴールに向けて取り組みを進めるべきと述べた。

豊田委員長からは、日本経済が強さを取り戻し、技術革新や高い生産性を生み出していくには、知恵と工夫を出し合い、「一生懸命働くこと」が必要だとしたうえで、日本の自動車産業が世界をリードし続けられたのは強い現場があったからだと指摘。政府に対し、モビリティを政策の中心に据えつつ、日本の強みを活かしたやり方を骨太に議論してほしいと訴えた。規制から入るのではなく、現場がしっかりと働き続けられ、かつモビリティの発展とカーボンニュートラルが両立するよう、税制への抜本改革も含めた支援を求めた。

有馬委員長は、自動車産業がモビリティ産業へ進化しても、中小企業が競争力の基盤であり続けることを示したうえで、「自動車部品産業が接着剤となり、業種の垣根を越えた連携を強化し、サプライチェーン全体の課題解決に貢献していきたい」と述べた。

その後、関係閣僚との意見交換を経て、最後に岸田首相が「自動車産業は、わが国経済・雇用の大黒柱」としたうえで、次の5点を指摘し、締めくくった。

  1. (1)わが国の経済や雇用を守り抜くために、官民が連携して、さらなる成長にチャレンジしていくことが必要である。

  2. (2)自動車を核に多様な産業がつながることで、さまざまな社会課題を解決し、経済成長につなげ、持続可能な社会をつくっていく。モビリティは「新しい資本主義」の中軸とならねばならない。

  3. (3)強靱で先進的な自動車産業が、グローバルな事業展開の中核としてわが国に存在していくことが重要である。

  4. (4)次回の本懇談会は、わが国のモビリティ産業を強化するために官民で何を優先的に取り組むか、率直に議論したい。

  5. (5)賃上げや取引適正化におけるこれまでの積極的な取り組みを政府として高く評価している。引き続き協力してほしい。

(注)テクノロジーの効用を短期的には過大評価し、長期的には過小評価しがちであること。未来科学者のロイ・アマラ氏が提唱した

【ソーシャル・コミュニケーション本部】