1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2023年4月27日 No.3589
  5. 新たな国土形成計画の策定に向けて

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年4月27日 No.3589 新たな国土形成計画の策定に向けて -危機管理・社会基盤強化委員会

木村氏

経団連は3月28日、東京・大手町の経団連会館で危機管理・社会基盤強化委員会(永野毅委員長、相川善郎委員長、安川健司委員長、渡邉健二委員長)を開催した。木村実国土交通省国土政策局長から、新たな国土形成計画の策定について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 国土形成計画の概要

「国土形成計画」は、総合的かつ長期的な国土のあり方を示す計画で、国土形成計画法に基づき策定される。2023年夏に新たな計画の閣議決定を目指し、国土審議会において検討を進めている。

■ 新たな国土の将来ビジョン

(1)時代の重大な岐路に立つ国土

国土をめぐる社会経済状況は大きく変化しており、時代の転換点ともいえる重大な岐路に立っている。一番の課題は未曾有の人口減少である。出生数の減少に歯止めがかからず、日本の総人口は推計を大きく下回るスピードで減少している。これまで人口規模の小さい自治体ほど人口減少が進む傾向にあったが、今後は地方の中心都市でも人口が減少していく。加えて、激甚化・頻発化している災害、気候危機の深刻化などにより、地域の持続性や安全・安心が脅かされている。

テレワークの急速な進展に起因する田園回帰の動き、デジタルトランスフォーメーション(DX)・グリーントランスフォーメーション(GX)の進展、国際競争の激化に伴うわが国競争力の顕著な低下、安全保障上の脅威の拡大など、社会に構造的な変化が生まれている。これらの変化に順応し、新しい時代を切り拓いていけるよう、未来に希望を持てる国土の将来ビジョンが求められている。

(2)国土構造の基本構想~シームレスな拠点連結型国土

計画の骨子案では、「新時代に地域力をつなぐ国土」づくりを目指し、新たな地域マネジメントを構築するため、基本構想として「シームレスな拠点連結型国土」を掲げている。特に、デジタルとリアルの融合によってシームレスなサービス展開等が求められている。このため、各種のDXを一層加速化したうえで、国土全体がその恩恵を享受できるような構造へと転換することが不可欠である。

各広域圏においては、拠点となる中枢中核都市にさまざまな機能を集約するとともに、リニア中央新幹線や新東名高速道路等の交通ネットワークやデジタルインフラによって各都市間を連結することで、自立的発展と交流・連携の強化を図ることが重要である。また、人々が集まり交流することのできる拠点を地域の生活圏に形成し、身近な地域コミュニティーを再生する必要がある。今回の計画の目玉は、この考え方に基づく地域生活圏の形成を地方の中心都市へと広げていくことにある。

(3)国土の刷新に向けた重点テーマ

国土の刷新に向けた重点テーマとして、(1)デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成(2)持続可能な産業への構造転換(3)グリーン国土の創造(4)人口減少下の国土利用・管理――の四つを挙げている。またこの4テーマを実効あるものとするため、その礎となる横断的な重点テーマとして、(5)国土基盤の高質化(6)地域を支える人材の確保・育成――を掲げている。これらの重点テーマに地域力を結集して取り組むことで、国土全体の多様性、持続性、強靱性を高めることが肝要である。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

「2023年4月27日 No.3589」一覧はこちら