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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年5月18日 No.3590 東京都のデジタル戦略 -都市・住宅政策委員会

宮坂氏

経団連は4月19日、都市・住宅政策委員会(菰田正信委員長、髙下貞二委員長、大久保哲夫委員長)をオンラインで開催した。東京都の宮坂学副知事から、東京版Society 5.0「スマート東京」の実現に向けた東京都のデジタル戦略について説明を聴いた。概要は次のとおり。

民間企業は2000年代初頭からデジタルを前提としたビジネスモデルの構築や組織改革を進めてきたが、行政ではデジタル以前の仕事様式から進展がみられなかった。米国ニューヨークや英国ロンドン等の海外主要都市と比較して、東京都ではデジタル化した行政手続きの利用率や満足度は総じて低い。また東京都職員のデジタル環境の整備も道半ばである。こうしたなか、東京都はデジタルを活用した行政サービスの質向上の牽引役として「デジタルサービス局」を新設した。約400人の職員が行政のデジタル化に尽力している。

東京都は、目指すべき未来として、デジタルの力でポテンシャルを引き出し、住民が質の高い生活を送る「スマート東京」を掲げている。その実現に向けて、(1)電波の道でつながる東京(2)公共施設や都民サービスのデジタルシフト(3)行政のデジタルシフト――の3本柱を立て、施策を展開している。

まず、(1)の電波の道でつながる東京では、誰一人取り残さずにデジタルの恩恵を享受できる通信環境の整備を目指している。具体的には、公共施設におけるWi-Fiや都有施設を活用した5Gの整備を促進している。

(2)の公共施設や都民サービスのデジタルシフトでは、デジタル技術の活用による既存のインフラや公共サービスの質向上を図っている。先行実施エリアを定めてさまざまな取り組みを行っており、例えば、建物や街をデジタル上で再現する3D都市モデルの構築を進めている。23年までに東京都全域のデータを取得予定であり、行政での利用のみならず、民間での活用も期待している。

(3)の行政のデジタルシフトでは、リアルとバーチャルのいずれでも行政サービスを提供可能とすることを目指している。ペーパーレス、ファクスレス、はんこレス、キャッシュレス、タッチレスの「5つのレス」を進めている。このほか、東京デジタルファースト条例に基づき、行政手続きを原則デジタルで行うこととし、23年に全プロセスの7割のデジタル化を目標としている。

さらに、東京都のみならず都内の区市町村を含む東京全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進展させるため、23年に「GovTech東京」を設立する予定である。GovTech東京では、東京都や区市町村がデジタルサービス等を共同調達することによるコストの軽減や品質の確保、また、行政に関する知識とデジタル技術を兼ね備えた人材が複数の都内自治体に関与できる仕組みの構築による区市町村のDXの推進等を目指している。

東京都は引き続きデジタル化をしっかりと進めていく。スマートシティーの推進等において民間企業との連携を深めたい。

【産業政策本部】

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