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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年5月18日 No.3590 ASEAN諸国との経済連携強化に向けて -日ASEAN友好協力50周年を迎えて/アジア・大洋州地域委員会ASEAN経済連携強化部会

経団連は4月13日、東京・大手町の経団連会館でアジア・大洋州地域委員会ASEAN経済連携強化部会(田中秀幸部会長)を開催した。経済産業省通商政策局アジア大洋州課の福地真美課長と東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の八山幸司COOから、それぞれ説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 経済共創による新たな日ASEAN経済関係を目指す(福地氏)

福地氏

東南アジア諸国連合(ASEAN)は近年高い経済成長をみせており、日本とASEANを合わせた市場規模は約8億人に上る。ASEAN地域は、(1)半導体や自動車部品の生産拠点(2)高いGDP成長率を誇る世界の成長センター(3)GAFAをはじめとする世界的企業が投資をする国際競争の主戦場――という三つの特徴を有している。2012年から21年の製造業の累積投資額は日本が首位であり、重要な市場となっている。ASEAN各国が次世代型産業の育成などを通じた産業高度化を図るなか、各国の実状を踏まえつつ連携を深め、新たな日ASEAN経済関係を構築していくことが重要である。

かかる状況のもと、23年に日ASEAN友好協力50周年を迎える。経産省は次の50年を見据え、安全で豊かで自由な経済社会の実現に向け、日ASEANの経済界や有識者と共に「日ASEAN経済共創ビジョン」の策定を進めている。具体的には、デジタル技術活用とデータ共有・連携基盤の整備を推進し、日ASEANが一体となった市場の構築を目指す。日本とASEANとの連携強化に向けた機運を高めるべく、6月に日ASEANビジネスウィーク2023、12月に日ASEAN特別ビジネスサミットの開催を予定しており、経済界とも一層連携していきたい。

■ ASEANのデジタル経済社会構築に対するERIAの取り組み(八山氏)

八山氏

ERIAは、東アジア経済統合推進のため、08年6月に政策研究・提言を行う国際機関として設立された。地域の経済統合の深化、経済格差の是正、持続的経済発展に向けて、実践的な研究活動や政策提言をしている。直近ではCOVID-19からの回復にかかる政策研究や、サーキュラーエコノミーのフレームワーク作成が評価された。また、東アジアエネルギーフォーラムの主催など、さまざまな活動を通じて、ASEANにおける存在感を高めている。

ERIAは22年9月にアジア総合開発計画最新版(CADP3.0)を公表し、デジタル経済がASEAN経済成長の柱となると提言した。CADP3.0の実現に向けて、新たにERIAデジタルイノベーション・サステナブルエコノミーセンターを設置した。同センターは、官民対話の場として、民間企業との連携のほか、ERIAの学術的なバックグラウンドやネットワークの情報を集約し、産学官連携のプラットフォームとして知識を共有する役割を担うことを目指している。また、民間企業の新しいビジネスモデルの策定を支援し、ASEANの産業基盤づくりへ貢献していく。

ASEANのデジタル経済プラットフォームの構築など、ASEANにおける企業のビジネス環境を整備していく。今後も日本企業との連携を深め、ASEANの経済成長に向けてさまざまな活動を進めていきたい。

【国際協力本部】

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