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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年8月10日 No.3602 JAグループ首脳と懇談 -経済界と農業界の連携の方向性について確認

十倉会長(右)、佐藤副会長

中家JA全中会長(左)、菅野JA全農経営管理委員会会長

経団連は7月12日、東京・大手町の経団連会館でJAグループ首脳との懇談会を開催した。経団連からは十倉雅和会長、佐藤康博副会長・農業活性化委員長、筒井義信副会長をはじめ副会長らが、JAグループからは全国農業協同組合中央会(JA全中)の中家徹会長、全国農業協同組合連合会(JA全農)の菅野幸雄経営管理委員会会長(当時)らが出席し、政府における「食料・農業・農村基本法」の見直しに向けたおのおのの取り組みや、今後の連携のあり方等について意見交換した。

開会にあたり十倉会長は、担い手の高齢化や農地の減少等、わが国の農林水産業を取り巻く環境は厳しくなっていると指摘。そのうえで、経済界としても農業の成長産業化に向け、AIや先端ICT等の活用による生産技術の向上、データの活用による農業経営や農作業のサポートに向けた施策の実現に取り組んでいくと述べた。

JA全中の中家会長は、昨今の国際情勢のもとで、食に関する国民の関心が高まる一方、食料の安定供給リスクが顕在化するなか、わが国の食料自給率の向上は食料安全保障の強化にも通じるもので、経団連とJAグループが連携して農業の活性化に努めることは大変意義深い。持続的な農業の実現に向けて「国消国産(国民が必要とし消費する食料は、できるだけその国で生産する)」という考えのもと、国民の理解が醸成されるよう情報発信に努めたいと応じた。

意見交換では、初めにJA全中から、政府における食料・農業・農村基本法の見直しにあたっては、(1)食料安全保障の強化(2)再生産に配慮した適正な価格形成の実現と国民理解の醸成・行動変容(3)農業の持続的発展に関する施策(4)農村の活性化、都市農業の振興(5)JAなど関係団体の役割強化――の五つを柱に、国を挙げて取り組むべきとの意見が出された。

またJA全農からは、(1)独自に開発した生産現場の生産性と管理の効率化の両立に資するクラウドシステムをはじめ、スマート農業の取り組み(2)農業現場における深刻な人手不足に対応した労働力支援の取り組み、ライフスタイルに農的生活を1割取り入れる「91農業」による多様な人材の参加促進(3)国産農畜産物輸出の政府目標(2030年までに5兆円)の達成に向け、輸出専門子会社を通じた輸出強化――について説明がなされた。

経団連からは、23年5月に公表した「農業の成長産業化に向けた提言」を踏まえ、(1)国内の生産基盤の強化に向けた、大規模化、高付加価値化、生産性向上(データの利活用、スマート農業の普及、バイオ技術の活用)(2)輸出拡大を企図した、海外への広報宣伝活動の支援拡充(ジャパンブランド化)、農産物・食品の認証取得の促進、輸出環境の整備(知財戦略を含む)(3)環境負荷軽減に向けた取り組みとして、温室効果ガスの削減、化学肥料・農薬への理解醸成、フードロスの削減――について意見を述べた。

最後に、経団連とJAグループをはじめとする農業界は、引き続き、わが国農業の発展に向けて意見交換を行い、連携を深めていくことを確認し、締めくくった。

【産業政策本部】

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