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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年11月2日 No.3611 インドでビジネスチャンスをつかむために -南アジア地域委員会企画部会

マリク氏(右)、カナ氏

経団連は9月28日、東京・大手町の経団連会館で南アジア地域委員会企画部会(松木俊哉部会長)を開催した。アジア・グループのアショク・マリク パートナー兼インド担当チェアならびにアマン・カナ インドカントリーディレクターから、インドのビジネス・投資環境について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 新たな経済成長期に入ったインド

現在のインドは、課題をはるかに上回るビジネス機会に恵まれており、21世紀に入って2度目の経済成長期を迎えている。1度目は2003年から11年にかけて、年平均8.3%のGDP成長率を記録した。08年のリーマン・ショックによる世界的な金融危機の余波がインドにも及んだものの、当時の経済成長は顕著であった。2度目の現在は、向こう10年以上、年平均6.5%以上の成長が継続する可能性がある。インドは世界経済のなかで、経済規模と重要性の両面から、成長の唯一の原動力といえよう。

■ 順調に進むインフラ整備

インドのビジネス環境の課題として、インフラ整備の遅れが指摘されるが、14年のモディ政権発足以降、積極的にインフラ投資を進め、目覚ましい進展をみせている。例えば、14年と比較して、道路の敷設距離は1.5倍、空港の数は2倍になった。また、水道・飲料水へのアクセスも34%から68%に改善し、25年までに100%を達成する予定である。

■ 製造業の振興に取り組む

インド経済で製造業が占める割合は15%程度だが、政府は今後25%まで引き上げるべく、特にエレクトロニクス、半導体、電気自動車などの製造能力の強化を進めている。現在の不安定な国際情勢のもと、世界的にサプライチェーンの再構築と調達の多様化が進むなか、インドは市場規模だけでなく、調達先としても大きな潜在力を有している。世界の企業がサプライチェーンや投資先にインドを組み込む動きをみせる今は、インド製造業が飛躍する大きなチャンスといえるだろう。

■ 米国との連携協力を推進。日本企業は積極展開を

インドと米国の間では、政治、技術、経済等さまざまな面で協力が進んでいる。米印は22年、新興技術分野での産学官連携を緊密化するため、重要新興技術イニシアティブ(Initiative on Critical and Emerging Technologies, iCET)を発足させた。これは、単なる技術協力にとどまらず、政治的な信頼関係の象徴として、両国が互いに安心して連携できるパートナーであることを経済界に示すメッセージとなっている。

他方、日本企業は、歴史的にインドから高い評価を受けてきたが、昨今、欧米や韓国の企業と比較して進出が遅れている。日本から中国への進出企業は3万社以上ある一方、インドへの進出企業は1500社程度にとどまっている。製造業の活性化など新たな時代の幕開けを迎えるインドには、経済成長とビジネス機会が広がっている。日本企業の積極的な進出を呼びかけたい。

【国際協力本部】

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