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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年11月2日 No.3611 GXをめぐる最新の動向 -経産省の若林参事官から聴く/環境委員会地球環境部会

若林氏

経団連は10月5日、東京・大手町の経団連会館で、環境委員会地球環境部会(船越弘文部会長)を開催した。経済産業省産業技術環境局の若林伸佳参事官・環境経済室長から、グリーントランスフォーメーション(GX)をめぐる最新の動向について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 世界のGXに向けた取り組みと日本の課題

世界全体のGDPの約94%を占める国・地域が、カーボンニュートラル(CN)目標を表明している。こうしたなか、欧米をはじめ世界各国・地域で、温室効果ガス排出削減と経済成長をともに実現するGXに向けた大規模な政策競争が激化している。例えば、米国は10年間で約50兆円の支援にコミットしており、ドイツも4年間で約33兆円の支援を表明している。

GX投資等の取り組みの成否が企業・国家の競争力に直結する時代に突入するなか、日本としても、国力を支える産業の競争力をどのように維持・強化していくかが中心的課題となっている。

■ GX実現に向けた政府の取り組み

2023年2月に「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され、その後の通常国会で、関連施策を実施するための法律が成立した。

「成長志向型カーボンプライシング構想」では、今後10年間で150兆円超の官民によるGX投資を実現すべく、その呼び水として20兆円規模のGX経済移行債を活用し、先行投資を支援していくこととしている。あわせて、28年度から化石燃料の輸入事業者に「化石燃料賦課金」を段階的に導入するほか、33年度から発電事業者に対して、排出量取引制度にかかる排出枠の「有償オークション」を実施する。これらのカーボンプライシング(CP)は、GX経済移行債の償還財源であると同時に、先行投資インセンティブとしても位置付けられる。エネルギーにかかる負担の総額を中長期的に減少させていくなかで導入することを基本とし、CP導入の道筋と、将来の炭素価格を低い負担から徐々に引き上げていくことを明確に示すことで、民間によるGX投資の前倒しを促進したい。

GX経済移行債を活用した投資支援策について、23年末までに「分野別投資戦略」を策定する予定である。具体的な投資内容は、排出削減効果や経済効果といった客観的な指標と、専門家の知見を活用しつつ、政府の「GX実行会議」で決定していく。

企業がGX経済移行債による投資支援を受ける際には、「GXリーグ」(注)への参加を要件とすることを検討している。GXリーグでは、現在、排出量取引制度を試行しているほか、サプライチェーン全体での排出削減に資する「GX製品」の市場を創造するため、ルールメーキングに関する議論を官民で行っている。24年初頭に24年度からのGXリーグへの参画申し込みを再開する予定である。未加入の企業には、参画を検討してもらいたい。

(注)CNへの移行に向けた挑戦を果敢に行い、国際ビジネスで勝てる企業群が、GXを牽引する枠組み

【環境エネルギー本部】

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