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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年11月9日 No.3612 日本のサイバー外交 -サイバーセキュリティ委員会サイバーセキュリティ強化ワーキング・グループ

日英両国首脳は2023年5月、G7広島サミットの機会をとらえ、「強化された日英のグローバルな戦略的パートナーシップに関する広島アコード」を締結した。同アコードには、「日英サイバー・パートナーシップを創設して、官民連携を強化し、共有された国際的な利益を増進させ、我々のサイバー能力を強化する」旨が明記されるなど、サイバー領域における両国間の官民連携の強化に向けた機運がとみに高まっている。

こうしたなか、経団連は英国政府の招待を受け、24年1月に「日英サイバー協力ミッション」(団長=遠藤信博副会長・サイバーセキュリティ委員長)を派遣すべく、準備を進めている。主たる目的は、サプライチェーン全体を俯瞰したサイバーセキュリティ強化に向けたわが国産業界の取り組みを発信するとともに、インド太平洋における日英関係を新たな次元に引き上げることなどである。

石月大使

そこで、経団連は10月3日、東京・大手町の経団連会館で、サイバーセキュリティ委員会サイバーセキュリティ強化ワーキング・グループ(和田昭弘主査)を開催し、外務省総合外交政策局の石月英雄審議官兼サイバー政策担当大使から、日本のサイバー外交等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ ルール・規範の形成・深化の推進

サイバー空間でのルール形成については、約四半世紀にわたり、国連で議論が進められてきている。これまでに、国連憲章を含む既存の国際法がサイバー空間に適用されることについて、コンセンサスに至った。また、15年には、「責任ある国家の行動規範」が合意されている。他方、国際法が「どのように」サイバー空間に適用されるかについては引き続き議論が必要であり、政府は21年6月、「サイバー行動に適用される国際法に関する日本政府の基本的な立場」を提示するなど、国際的な議論に積極的に参加している。

■ サイバー攻撃の抑止

サイバー空間は匿名性が高く、攻撃元の特定が容易ではないという特性がある。サイバー空間において、パブリック・アトリビューション(攻撃者を特定し、公に非難すること)を通じて攻撃者にコストを課し、一定の抑止力としていくことが必要である。最近では、9月に警察庁と内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が、米国の関係機関と合同で、中国を背景とするサイバー攻撃グループ「BlackTech」に関し、注意喚起を発出している。

■ 国際連携

米国や英国をはじめ同盟国・同志国との二国間のサイバー協議・対話を重ねる一方、G7や日米豪印上級サイバーグループ、さらには日ASEANサイバーセキュリティ政策会議といった多国間の枠組みにおいても議論を深めている。また、ランサムウエアに対する国際連携の枠組み(約50カ国参加)も進展している。

■ 能力構築支援

サイバーセキュリティにかかる能力構築支援は、世界全体のサイバーセキュリティ上の脆弱性を低減し、日本を含む世界全体へのリスクを低減させるといった意義がある。こうした観点から、政府が21年12月に決定した「サイバーセキュリティ分野における開発途上国に対する能力構築支援に係る基本方針」を踏まえ、日ASEANでタイ・バンコクに設立した「日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター」を通じた人材育成や、世界銀行サイバーセキュリティ・マルチドナー信託基金への拠出を行っている。

また、岸田文雄内閣総理大臣は23年3月、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)のための新たなプランを発表した。自由、公正かつ安全なサイバー空間を確保するため、政府横断的にサイバーセキュリティ分野の能力構築支援を強化していくことで、自由で開かれたインド太平洋の平和と繁栄を確保することが重要である。

【産業技術本部】

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