
ドンチェフ副首相(左)と髙島副会長
経団連の髙島誠副会長・ヨーロッパ地域委員長、齋藤洋二同企画部会長は4月14日、東京・大手町の経団連会館で、ブルガリアのトミスラフ・ドンチェフ副首相兼イノベーション・成長大臣と懇談した。ドンチェフ副首相の発言概要は次のとおり。
私はブルガリア日本友好議員連盟の会長を務めていた。両国は政治面で素晴らしい関係を築いていると思う。しかし両国の貿易額はあまり大きくない。相互理解を深め、さらに経済協力や大学間・地方自治体間の協力などが進むよう努力していかなければならない。
ブルガリアでは道路、鉄道、水道、デジタルといった各種インフラの近代化に向けて投資をしている。国土の60%が山岳地帯のわが国での各種建設は複雑で、費用がかさむ。リスクを分散できる官民連携(Public Private Partnership=PPP)を促進する必要がある。隣国のルーマニアとの間には橋が二つしかないが、あと二つは必要である。日本企業が関心を持つなら、橋の建設に向けた官民のワーキンググループを設けることもできる。われわれは良い条件を示すことができる。
投資を促すため、経済特区を整備している。多くの市長はこの特区を活用したいと考えている。日本と協力して特区に最適な場所を決定し、日本に開放することもできる。
AI研究に関してブルガリアは欧州の先駆者である。政府はソフィア大学内に、スイス連邦工科大学チューリッヒ校等との協力のもと、AIの研究所である「コンピューターサイエンス・人工知能・技術研究所」(INSAIT)を設立した。さらに欧州委員会は、欧州高性能コンピューティング共同プロジェクト(EuroHPC)に基づき、AI分野に特化したスーパーコンピューターの拠点をわが国に設置することを決定した。データセンターの立地先としても魅力を有していることを生かし、データセンターへの投資と連携させたい。
エネルギー面では、現在、原子力発電所が2基稼働しており、火力発電も活用している。直近では民間部門と共に蓄電池への投資を進めている。グリーンエネルギー普及のため、蓄電池は現状から最低でも20倍に増やさなければならない。
日本がブルガリアに抱くイメージといえばヨーグルトだろうが、GDPに占める農業の割合は3%しかない。製造業の割合はその10倍である。農業だけではなく、それ以外の分野でも協力を深めたい。
【国際経済本部】