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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年5月15日 No.3682 「経団連カーボンニュートラル行動計画」と第三者評価委員会報告書を公表

経団連は3月31日、「経団連カーボンニュートラル行動計画」(CN行動計画)の2023年度実績と、同計画への第三者評価委員会による評価報告書を公表した。

■ CN行動計画

経団連は、CN行動計画を通じて、自主的にCO2等の排出削減に取り組んでいる。具体的には、50年CNに向けたビジョンの策定と、「国内の事業活動における排出削減」「主体間連携の強化」「国際貢献の推進」「2050年CNに向けた革新的技術の開発」の4本柱で構成される。毎年度、同計画への参加業種(24年度は63業種が参加)へのフォローアップ調査を通じてCO2排出量の実績値等を確認したうえで、第三者評価委員会による評価・検証が実施される。

24年度のCN行動計画のポイントは、次の3点である。

1.ビジョンの策定状況

24年度も参加業種に対して、50年CN実現に向けたビジョンの策定を引き続き呼びかけたところ、策定済みの業種は、23年度の45業種から、47業種に増加した。また、策定済み47業種のCO2排出量は、参加業種全体のCO2排出量の97.4%となった。

2.国内の事業活動における削減実績(図表参照)

(図表のクリックで拡大表示)

23年度における参加業種全体の国内事業活動からのCO2排出量は、22年度比で2.3%減となった。主な要因として、建設工期長期化によるセメント需要の低下や化学製品の外需縮小によって、多排出産業を中心に経済活動量が減少したことが挙げられる。また、高浜原子力発電所1号機・2号機の再稼働により、購入電力のCO2排出係数が低下したことも全体の排出量削減に寄与した。

13年度比、すなわちこの10年間の削減率は21.5%となった。鉄鋼・化学・セメントといった多排出産業の経済活動量の減少や、原子力発電所再稼働に伴うエネルギー転換部門の排出係数の低下が主要因として考えられる。

3.CN行動計画の位置付けやあり方

CN行動計画は長年、わが国の温暖化対策における産業界の主体的取り組みとして有効に機能してきた。一方で、26年度から排出量取引制度の本格稼働が決まっており、現在、制度の詳細設計が進んでいる。これを踏まえ、今後、経団連として、CN行動計画の位置付けやあり方等について検討していく予定である。

■ 第三者評価委員会報告書

CN行動計画第三者評価委員会報告書の概要は次のとおり。

第三者評価委員会は、24年12月に公開されたCN行動計画の速報版に基づき評価した。

第一の柱「国内の事業活動における排出削減」については、30年度目標の見直しが継続的に実施されていることや、BAT(Best Available Technologies)が限られていくなかで排出削減が続けられていることを高く評価している。一方、排出削減の主な要因が、省エネ・技術開発の結果ではなく、経済活動量の低下となっていることを課題として指摘した。排出原単位から総量への目標の更新や、省エネや脱炭素による原単位改善の効果を定量的に示すことが重要としている。

第二の柱「主体間連携の強化」、第三の柱「国際貢献の推進」については、バリューチェーンを通じた削減価値に関するルール形成を主導し、国内あるいは国際的に通用する制度として定着させることや、企業ごとの優良事例を業界として把握・横展開するなどして、国内外での取り組みの効果を拡大することへの期待が示された。

第四の柱「2050年CNに向けた革新的技術の開発」については、50年CN達成に向けて、第四の柱の深掘りと実効性ある取り組みを早期に検討することが肝要であるとし、海外の国や企業と協力して実施していく必要があると指摘した。

◇◇◇

経団連は、CN行動計画に基づき、国内事業活動とともに、グローバルに広がるバリューチェーンを通じた排出削減に取り組み、わが国ひいては世界のCN、グリーントランスフォーメーション(GX)実現に貢献していく。

【環境エネルギー本部】

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