
髙島副会長
経団連は4月9日、会員各社の女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、髙島誠副会長(三井住友銀行会長)をメンターに迎え、東京・大手町の経団連会館で「第32回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。82人の女性役員が出席し、講演を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ キャリアの礎となった三つの経験
通算11年半の海外経験を通じて、自分と異なる文化で育った相手をリスペクトして接することの重要性を学んだ。同時に、厳しい競争環境のなかで自分の存在感を示すためには、他人と異なる考えやアプローチが必要だと痛感した。
その考えに基づき、中期経営計画のプロジェクトリーダーを務めた際は、自分が頭取に成り代わったつもりで策定に取り組んだ。
その後、リーマンショックや東日本大震災、コロナショックなどの危機において、企業としての損害を最小限に抑えつつ、お客さまを最大限支援する方法を模索した。この経験を通じて、社会インフラとしての銀行の重要性を痛感した。
■ 大切にしているマインドセット
これまでの経験を通じて、三つのマインドセットを心掛けてきた。
一つ目は「Stand up & step in」。一つ高い目線で物事を考えること。自分の仕事はここまでだという線引きをせずに幅広い領域に手を伸ばすことである。
二つ目は「Change something,always」。常に何かを変えること。変えるためには、その物事の本質を理解することが重要である。
三つ目は「Listen first」。忙しいなかでも、謙虚に我慢強く相手の話を聞き、重要な情報を見逃さないようにしなければならない。
■ 経営者として意識してきた方向性
経営者として組織を変革していくため、「Beyond our boundaries(国内外における金融・非金融ビジネスの積極的展開)」「Innovation & Evolution(社内外におけるイノベーションの推進)」「Communication Engagement(お客さま・従業員とのコミュニケーション強化)」という三つの方向性を意識していた。
個人のマインドセットと組織が目指す方向性との相互作用により、「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」というSMBCグループのビジョン実現に向けた推進力が生まれる。
■ ビジネスリーダーに必要な考え方
経営者として大切にしている基本的な考え方は「目は高く、頭は低く、心は広く」。長期的な視野で高い目標を掲げ、謙虚さを保ち、愛情を持って部下や同僚に接することを心掛けている。
また、先述の自身の三つのマインドセットについては、自身が尊敬する経営者も、ビジネスリーダーに求められることとして同様の考え方を述べている。経営者の間で一定の共通認識があると感じた。皆さまの参考になれば幸いである。
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講演後、リーダーシップやその心構えなどについて活発な意見交換が行われ、髙島副会長から多岐にわたるアドバイスが送られた。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】