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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年5月15日 No.3682 AZECの近況と今後 -第4回AZEC推進ワーキングチームを開催

白井氏

前田氏

経団連は4月3日、東京・大手町の経団連会館で第4回AZEC推進ワーキングチームを開催した。資源エネルギー庁長官官房の白井俊行国際課長、経済産業省GXグループの前田洋志地球環境対策室長から、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の取り組みの進捗状況を中心に説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ AZECとは

AZECは、各国の事情に応じた多様な道筋により、アジアの脱炭素化・経済成長・エネルギー安全保障の同時実現(トリプルブレークスルー)を目指す協力枠組みである。2022年1月に岸田文雄内閣総理大臣(当時)が提唱した。

■ 第2回閣僚会合(ジャカルタ)の成果

24年8月、インドネシア・ジャカルタで開催された第2回閣僚会合では、電力・運輸・産業の3部門の脱炭素化イニシアティブに合意した。電力部門では、25年1月、日インドネシア両国政府の支援を受けたインドネシアの「ムアララボ地熱発電拡張プロジェクト」の融資契約が締結に至った。AZECのもと、具体的なプロジェクトがファイナンスを含めて完結した第1号案件である。

また、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)のもとに、各国の脱炭素化に向けた政策の策定等を支援する組織として、アジア・ゼロエミッションセンターが立ち上げられている。

AZECの推進には官民連携が極めて重要である。閣僚会合では、経団連、ASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC)、ERIAから成るアドボカシーグループが提言を閣僚に手交した。引き続き経済界からの協力をお願いしたい。

■ 第2回首脳会合(ラオス)の成果

AZECはエネルギーセクターの具体的なプロジェクト促進を中心にスタートしたが、アジアの産業・エネルギー構造を変えていくためには、AZECパートナー国の横断的なルール形成等のアクションが必要となる。

24年10月、石破茂内閣総理大臣が議長として出席したラオスでの第2回首脳会合の共同声明において、「今後10年のためのアクションプラン」が採択された。同アクションプランの柱の一つがAZECソリューション(脱炭素化に資する活動を促進するルール形成等)の推進である。温室効果ガス(GHG)排出の削減努力が評価される市場をアジアで創出するべく、サプライチェーン全体の排出量可視化に向けて、パートナー国間で協働していくことが明記された。また、トランジションファイナンスの推進に向けて、ステークホルダーと協力する方向性が示された。アクションプランを実際の政策に落とし込んでいきたい。

◇◇◇

説明後、出席企業から、AZECパートナー国域内で実施するプロジェクトの進捗状況や課題等について活発に議論が交わされた。

25年はマレーシアで第3回閣僚会合が開催される予定である。経団連は、AZECのモメンタムの維持・強化、構想のさらなる具体化に向けて、引き続き政府と協力して取り組んでいく。

【環境エネルギー本部】

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