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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年5月22日 No.3683 IASB・ISSB両副議長と懇談 -金融・資本市場委員会企業会計部会・サステナビリティ情報開示タスクフォース

経団連は4月4日、東京・大手町の経団連会館で、金融・資本市場委員会企業会計部会(佐々木啓吾部会長)と同サステナビリティ情報開示タスクフォースの合同会議を開催した。

国際会計基準審議会(IASB)のリンダ・メゾンハッター副議長ならびに鈴木理加理事からIASBの最新動向について、また、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)のスー・ロイド副議長ならびに小森博司理事からISSBの最新動向について、それぞれ説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

左から小森氏、ロイド氏、メゾンハッター氏、鈴木氏

■ IASBの最新動向

IASBの作業計画は、「リサーチ・プロジェクト」「基準設定プロジェクト」「維持管理プロジェクト」「適用上の疑問点」「適用後レビュー」――の五つに大別される。

「基準設定プロジェクト」には、公開草案で寄せられた意見を基に検討を進めている「企業結合―開示、のれん及び減損」や「持分法」のほか、2025年上半期に修正が予定されている実務記述書「経営者による説明」などが含まれる。このうち、「経営者による説明」については、公開草案における提案に対する的を絞った改善の審議は完了しており、ISSBの支援により、財務諸表およびサステナビリティ開示との間のつながりも含めた内容で最終化していく。

また、27年以降の期間を対象として、25年3月から「第4次アジェンダ協議」の審議を開始している。これは、(1)IASBの作業計画における戦略的方向性およびバランス(2)IASBの作業計画に追加される可能性のあるプロジェクトを評価するための判断規準(3)優先順位の高い財務報告上の事項――を協議することを目的としている。関連して、ISSBとのつながりに関連した作業の優先順位のインプットを求めるべく、25年下半期に情報要請の公表を予定している。

■ ISSBの最新動向

ISSBでは、「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」(IFRS S1号)、「気候関連開示」(IFRS S2号)の導入支援を最優先事項として定め、取り組んでいる。一方で、「生物多様性、生態系及び生態系サービス」や「人的資本」を含む「リサーチ・プロジェクト」、「SASBスタンダードの維持・向上」についても、並行して進めている。

現時点では、35の法域において、法律や規制の枠組みにISSB基準を導入することを決定しているか、同基準を導入するための措置を講じている。これらの法域を合わせると、世界のGDPの60%弱、世界の時価総額の40%超、世界の温室効果ガス排出の60%弱をカバーすることとなる。

■ つながり

つながり(connectivity)は、近年ますます注目度を増している。そのため、国際財務報告基準(IFRS)財団においても、IASBとISSBの連携を密にし、概念や用語の整合を図るなど、おのおのが開発する基準間の一貫性を確保している。

25年第2四半期に修正を予定している実務記述書「経営者による説明」については、「投資家が必要とする情報を、企業側ができるだけ効率的に届けるためのツールとして活用してほしい」という思いで開発した。同記述書の公表により、企業側に追加的な資料の作成を求める意図はない。同記述書を、企業内の関係部署間(経理、サステナビリティ、IRなど)の連携強化等に活用してもらえれば幸いである。

◇◇◇

説明後、企業側から、昨今のIASBにおけるプロジェクトの進め方や注記に対する考え方、財務情報とサステナビリティ情報の特性の違いを十分に踏まえて基準開発を行うことの重要性、つながりに係る基本的な考え方などについてコメントが出された。

【経済基盤本部】

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