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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年6月12日 No.3686 シェフチョビチ貿易・経済安全保障担当欧州委員と懇談

シェフチョビチ氏

経団連の兵頭誠之副会長・通商政策委員長、齋藤洋二ヨーロッパ地域委員会企画部会長らは5月8日、東京・大手町の経団連会館で、欧州委員会のマレシュ・シェフチョビチ貿易・経済安全保障担当委員らと懇談した。シェフチョビチ氏の発言概要は次のとおり。

欧州委員会で、米国政府との関税交渉を担当している。欧州連合(EU)は米国に対して1500億ユーロを超える貿易黒字があるが、サービス貿易は1000億ユーロ以上の赤字であり、合計の黒字額は500億ユーロと、両者間の全貿易額に比べれば大きくはない。米国とは長い友好的な関係があり、交渉による解決を目指し、さまざまな機会を捉えて議論している。ただ、交渉が決裂した場合に備え、バランスを取るための対抗措置も準備している。

対米関係の改善は当然重要であるが、並行して、米国以外の国々との関係を強化することも欠かせない。EUは、70カ国以上と自由貿易協定を締結する世界最大の貿易圏である。現在は、インド、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、アラブ首長国連邦等との交渉に注力している。また、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)とのさらなる協力の可能性を模索したい。

また、非市場的政策・慣行とそれによる過剰生産がEU域内の産業に与える影響を懸念している。太陽光や風力発電に関わる製品などの過剰生産は問題であり、対応が必要である。

厳しい国際情勢において、EUと日本は同じような境遇にあり、また相互補完的な関係でもある。日EU経済連携協定(EPA)が2019年に発効されてから、日EU間の貿易量は拡大したが、まだまだ協力関係を深める余地はある。経済安全保障に関する日本の先進的な取り組みに強い関心を持っている。経済安全保障は、ハイレベル経済対話で取り上げられることになっている。また、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の関係者と面会し、その経験から学びたいと考えている。

日本には、AI、半導体、蓄電池などに関する素晴らしい技術がある。EUとしては、特に蓄電池のEU域内の供給力を高めたく、日本企業に投資の機会があると考えている。

【国際経済本部】

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