
ファビアン氏
国連児童基金(ユニセフ)と国際電気通信連合(ITU)は2019年から、全ての学校をインターネットに接続し、子どもや若者に情報や機会、選択の場を提供することを目指す「Gigaイニシアティブ」に取り組んでいる。
経団連は5月9日、東京・大手町の経団連会館で、ユニセフのクリストファー・ファビアンGigaイニシアティブ共同創業者・共同リードから、同イニシアティブの進捗状況について説明を聴くとともに懇談した。企業行動・SDGs委員会企業行動憲章タスクフォースの関正雄座長はじめ同委員らが参加した。ファビアン氏の説明の概要は次のとおり。
Gigaイニシアティブは、世界の約3分の1の人々がインターネットに接続できていないという認識から始まった。
当イニシアティブは各国の学校の所在地の把握から始まる。その後、ネットワーク環境の現状をマッピングし、政府による資金調達を支援したうえで、最後にインターネット接続環境を整備する。その際に必要な技術の支援も行っている。
マップでは、インターネットに接続されている学校を緑の点、接続されていない学校を赤の点で示している(図表参照)。アフリカには多くの赤い点があるが、これはアフリカに課題が多いことを示す一方、将来の可能性が大きいことも示している。
例えば、シエラレオネ国内の赤い点を全て緑に変えれば、GDPが21%上昇するという試算がある。インターネット接続によって、若者が情報や機会にアクセスできるだけでなく、経済効果をもたらし、新たな市場・雇用が形成され、ビジネスチャンスも増える。私たちが少しの刺激を与えれば、多くの国で市場の成長が期待できる。

当イニシアティブは世界中のパートナー企業のおかげで成り立っている。例えばエリクソンは、マッピングシステム構築に協力してくれた。デルは、高性能コンピューティングへのアクセスを提供するとともに、データサイエンスエンジニアも派遣してくれた。日本のテクノロジーやインフラ業界の企業にもこの取り組みに参加してもらいたい。
SDGs達成が困難な状況にあるなか、多国間システムと資金調達も困難に直面している。しかし、人々がインターネットに接続できるようにする取り組みは、非常に暗い時代に一筋の光明をもたらす。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】