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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年6月12日 No.3686 批判に向き合い、孤独に耐える覚悟 -第33回リーダーシップ・メンター・プログラムを開催/永井副会長が講演

永井副会長

経団連は5月20日、会員企業各社の女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、永井浩二副会長(野村ホールディングス会長)をメンターに迎え、東京・大手町の経団連会館で「第33回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。90人の女性役員が出席し、講演を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ 野村の人材戦略

野村の起源は1872年に大阪で創業した両替商「野村商店」にさかのぼり、今から100年前の1925年に大阪野村銀行(1917年設立)の証券部が独立して野村證券が誕生した。後発企業として東京市場に挑んだ。

当時としては異色の取り組みであった、実力主義と若手登用を重視する「キープヤング」戦略を導入した。キープヤングの本質は、抜擢された人の努力だけでなく、周囲がその人を支えたいと思える関係性の構築にある。抜擢された人は、周囲が気持ちよく協力できるような姿勢や行動を示す責任があり、野村の人材戦略の原点ともいえる。現在は年齢・国籍・経歴を問わず、能力と実績に基づく登用を徹底し、多様な人材の活用を成長の原動力としている。

■ 私の考えるリーダーシップ

現代の構造変革のなかで、次世代リーダーに求められることは、単なる役職経験ではなく、広い視野と中長期的な視点を持つ真のリーダーシップである。ビジネスにおけるリーダーシップは、学生時代の「キャプテンシー」と異なり、多様なスタイルが存在する。野村證券での経験を通じ、同質的な集団では「黙って付いてこい」型のリーダーシップが通用したが、多様な価値観を持つ組織ではロジックと熱意を持った説得が不可欠であることを学んだ。特に、従業員組合の委員長時代に実行した主婦層パートタイマーの組合加入は、周囲から強い反発を受けながらも、信念を持って粘り強く説得を続け、最終的には合意を得たことが忘れられない。リーダーの最大の使命とは、目先の利益の追求にとどまらず、強い信念と大局観を持ち、チームの持続的な成長に責任を持つことだと学ぶ貴重な経験だった。

■ やると決めたら、孤立無援になっても、最後までやり抜く

リーダーには、時代の流れを見極める洞察力と大局観、そして困難な決断であっても私情を挟まず決める覚悟が求められる。多様性のある組織では論理的な説明力も不可欠であり、決断後は熱意を持って説得を続ける責任がある。「平時は謙虚に、有事は先頭に立つ」姿勢が大きな組織を運営するうえで大切である。また、周りから「どう見られているか」を意識し、外見や振る舞いにも配慮すべきである。そして、批判に向き合い、孤独に耐え、最後までやり抜く覚悟こそ、真のリーダーに求められる資質である。

今後、困難に直面しても決して諦めず、今以上の未来と自身の夢の実現に向けて、力強く前進してもらいたい。

◇◇◇

講演後、リーダーシップやその心構えなどについて活発な意見交換が行われ、永井副会長から多岐にわたるアドバイスが送られた。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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