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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年6月12日 No.3686 政府の国土強靱化の取り組み -危機管理・社会基盤強化委員会首都直下地震等対策推進タスクフォース

塩井氏

経団連は4月24日、東京・大手町の経団連会館で、危機管理・社会基盤強化委員会首都直下地震等対策推進タスクフォース(光田毅座長)の第6回会合を開催した。政府の国土強靱化の取り組みについて、内閣官房国土強靱化推進室の塩井直彦参事官から説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ 国土強靱化の取り組み

取り組みの根幹を成すのが、2013年に成立した国土強靱化基本法である。現在は「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(5か年加速化対策)に基づく総額15兆円規模の事業を通じて、取り組みの加速化と深化に努めている。

国土強靱化では、事前防災が大きな効果をもたらす。例えば平成30年7月豪雨では、小田川水害の被害額・復旧費用は約2695億円に上ったが、事前に対策を講じた場合、その整備費用は約480億円で済む。国土政策や産業政策を含め、「国家百年の大計」として総合的に対応していくことが重要である。これにより、強さとしなやかさをもった安全・安心な国土を構築したい。

現在、第1次国土強靱化実施中期計画を策定している(注)。これは国土強靱化基本法に基づき、2026年度から5年間で国土強靱化にどう取り組むかを示すものである。

■ 具体的な国土強靱化推進事業

5か年加速化対策では、重点的に取り組むべき123の対策を定め、事業を行った。

例えば、奈良県の大和川流域における河道掘削や貯留施設整備では、同じ量の雨が降っても被害が減少することが確認された。

宮崎県の東九州自動車道の整備では、内陸部に高速道路を建設し、沿岸部の国道とダブルネットワークを設けて交通網の冗長化を図った。

茨城県神栖市の水道施設では、継ぎ手部分を柔軟な管に更新し、地震による漏水を防いだ。

新潟県柏崎市の道路状況の監視カメラ整備では、立ち往生車両を早期発見し、迅速に対策を講じられるようになった。

気象庁では、線状降水帯の発生可能性通知について、広域の地域ブロック単位から県単位で行えるように予測精度を高めた。加えて、そのタイミングも早め、半日程度前から通知できるようになった。

今後の実施中期計画では、(1)防災インフラの整備・管理(2)ライフラインの強靱化(3)デジタル等新技術の活用(4)官民連携強化(5)地域防災力の強化――の五つの柱に沿って、約300の施策に取り組む予定である。

■ 意見交換

【委員】住民に安全な場所へ移転するよう促すアイデアは。

【塩井氏】地域が抱えるリスクを住民がきちんと把握し、対応を自分ごととして考えることが第一歩だろう。

【委員】第1次国土強靱化実施中期計画で、資材価格・人件費高騰等の影響を予算編成に適切に反映するよう期待する。

【塩井氏】国土強靱化の事業規模(5年間で20兆円強など)を関係業界の皆さまに理解いただきたい。そのうえで、必要な経営計画につなげてほしい。

【委員】グリーンスチール等環境に配慮した資材の採用推進を望む。

【塩井氏】グリーントランスフォーメーション(GX)の取り組みは重要。気候変動に対しては適応策と緩和策の両方で臨みたい。

(注)6月6日に閣議決定

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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