経団連は6月17日、提言「アフリカの内発的・持続的発展に向け、今こそ日本の積極姿勢を示すべき~TICAD9に臨むにあたって」を公表した。
2025年8月に横浜市で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD9)に向けて、わが国が官民連携のもと、アフリカの内発的・持続的成長に貢献するための基本的方向と具体的施策を提言している。概要は次のとおり。
■ 高いポテンシャルを秘めるアフリカと日本の基本的方向性
厳しさを増す世界情勢のなか、存在感を増すグローバルサウスのなかでも、とりわけ高いポテンシャルを秘めているのがアフリカである。人口増加など、中長期的な成長が期待されるアフリカは、長期ビジョン「Agenda2063」のもと、内発的・持続的発展に向けて歩み始めている。
わが国としても、石破茂内閣総理大臣の強力なリーダーシップのもと、官民を挙げてTICAD9を有意義な機会とするとともに、アフリカの抱える社会課題の解決に向けて連携を強化するための明確な方針を打ち出す必要がある。
■ アフリカが抱える社会課題の解決に向けた具体的施策
アフリカの社会課題の解決に向けて、(1)アフリカとの共創(2)わが国官民による共創(3)欧州・インド等の第三国・地域などとの共創――を有機的に推進することが重要である。
日本としては、アフリカに対する具体的施策として、(1)ハード(道路、電力等)(2)ソフト(自由貿易協定〈FTA〉・経済連携協定〈EPA〉、租税条約等の経済協定)(3)ヒューマンリソース(重層的な人材育成)(4)ヒューマンセキュリティ(保健医療、食料等)――の四つのインフラに関する取り組みを進める必要がある。
これらのインフラ整備は、ヘルスケア、グリーン、フード&アグリ、ロジスティクス、デジタル、エンターテインメント・コンテンツなど、アフリカが直面する社会課題の解決を目指すものである。
日本政府は、例えばヘルスケアを、国を挙げて取り組む「オファー型協力」の対象に加えることや、国際機関における日本製品・技術の調達推進のため、関係省庁横断的に取り組むことが考えられる。
グリーンについては、二国間クレジット制度(JCM)の積極的活用や、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)をモデルにした「アフリカ・ゼロエミッション共同体」の創設を提案する。
クリエーターの育成や、デジタル貿易のルール形成を通じたエンタメ・コンテンツの戦略的取り組みも必要である。
日本政府にはアフリカ戦略を、首相のトップダウンで着実に実行してもらいたい。トップ外交を積極的・継続的に展開するとともに、アフリカ経済戦略会議がアフリカ戦略の司令塔として機能するよう強化する必要がある。
【国際協力本部】