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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年6月26日 No.3688 人道支援が必要とされるミャンマー情勢 -日本ミャンマー経済委員会

高木氏

経団連は6月3日、東京・大手町の経団連会館で日本ミャンマー経済委員会(本間洋委員長、上野真吾委員長)を開催した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の高木典子ミャンマー代表から、ミャンマー情勢とUNHCRの活動について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ UNHCRの活動とミャンマーの現状

UNHCRは、1950年に設立され、現在、130カ国以上で世界中の難民保護や支援のための活動を行っている。その活動内容は、主に(1)人権保護(2)緊急対応(3)避難先での長期的解決策の策定――の3点である。

ミャンマーでは、2021年の軍事クーデター後、国土の約半分が紛争地帯と化し、国内避難民は350万人を超えた。加えて、1980年代からのロヒンギャ難民危機で、100万人以上が難民としてバングラデシュに避難しており、いまだ解決の糸口が見えない。2025年3月の大地震や洪水などで状況はさらに深刻になっている。

UNHCRは、ミャンマーに対する緊急支援としてシェルター、救援物資、現金給付、保護サービスの提供などを行っている。こうしたなか、軍事政権との距離感、激戦区における治安問題、また先行きの不透明さが支援の課題となっている。空爆など市民への無差別攻撃や、今後予定される総選挙など、混迷が続くことが予測されるなか、戦闘終結後の支援が必要である。

UNHCRでは、(1)人権保護(2)大規模な人道支援(3)地域コミュニティとの協働(4)開発パートナーとの長期的解決策の推進――の4点を中心に活動している。特に(3)と(4)に関し、地区ごとのニーズについては、各コミュニティに根付いた団体からの意見を重視しており、他の国連機関やNGOと連携を取りながら地域主導のプロジェクトを支援している。

人道支援は人々に「安定感」と「希望」をもたらす。UNHCRは今後もミャンマーでの将来的な平和構築を目指し、活動を続けていく。

■ 民間セクターとの連携と国連UNHCR協会の活動

国連UNHCR協会は00年に設立され、UNHCRの公式支援窓口として広報・啓発、募金活動を担っている。24年の寄付実績は約95億円で、日本の民間からの支援は国連UNHCR協会を通じてUNHCR本部に届けられ、グローバルな難民支援活動に活用されている。

昨今の米国・トランプ政権による海外援助凍結・停止で大きな影響が出ている。例えば、世界で7カ所あるUNHCR備蓄倉庫の保有物資の削減など、各地で緊急事態への対応が危機に直面している。

そのようななか、民間からの支援は非常に重要である。日本企業からは、寄付のほか、現地の職業訓練などで貢献してもらっている。また、国連UNHCR協会とUNHCR駐日事務所の連携により、日本在住の難民学生に高等教育の機会を提供している。今後、民間セクターとの連携をさらに強化していきたい。

【国際協力本部】

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