経団連は5月28日、東京・大手町の経団連会館で「経団連 Startup Summit 2025」を開催し、大企業・スタートアップ・大学・行政等から約260人が参加した。
前号に続き今号では、第3回スタートアップフレンドリースコアリングにおいてハイスコアを獲得した3社が登壇し、「大企業発イノベーションに向けて」をテーマに議論したセッションの模様を紹介する。概要は次のとおり。
■ 髙橋誠 スタートアップ委員長

KDDIでは、特徴的な取り組みとして、(1)スタートアップ向けの人財派遣(2)寄付講座(3)ディープテック・スタートアップ創業支援――などのアカデミアとの連携や、事業等の取り込みを実施している。
「両利きの経営」の実践としては、イノベーションの創出に当たり、グロース事業をベース事業から切り離して成長させたうえで、レバレッジを効かせてベース事業に組み込むことが重要である。
■ 和田茂己 日本電気Corporate SVPみらい価値共創部門長

日本電気では、カーブアウト・スピンオフと業務提携が特徴的である。これまでは海外を中心にスタートアップの事業化支援等を行ってきたが、今後は日本にも支援を広げていきたい。
自前主義が残る企業風土において、スタートアップからの調達に加え、事業開発組織とコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を一体化してスタートアップと直接連携していく方向性を模索している。
今後も「仕掛けよう、未来」のメッセージのもと、スタートアップも事業も育てる社内の機運醸成に取り組んでいく。
■ 鈴木隆夫 日本航空執行役員イノベーション本部長

日本航空では、スコアリング結果の分析を踏まえ、(1)スタートアップとの協業(2)カーブアウト(3)人材の提供・輩出――に注力している。特にエアモビリティなど、本業と近い分野の提携は実行しやすい。
大企業のイノベーションを促進するには、取締役の意識改革や組織づくりが不可欠である。当本部メンバーの約8割は社外からの採用であり、それが新たな取り組みにつながっている。
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セッションの最後に橋委員長は、スコアリングに参加することの有効性を示したうえで、「10X10X」の達成に向けてスタートアップの成功レベルの引き上げに取り組んでいきたいと締めくくった。
イベント終了後、参加者による活発なネットワーキングが立食形式で行われた。
【産業技術本部】