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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年7月10日 No.3690 子ども食堂を地域のつながりの核に -企業行動・SDGs委員会経団連1%クラブ

経団連は6月16日、東京・大手町の経団連会館で企業行動・SDGs委員会経団連1%(ワンパーセント)クラブ(宇田優香座長)の会合を開催した。各地の子ども食堂の活動を支える全国食支援活動協力会の平野覚治専務理事、全国こども食堂支援センター・むすびえの三島理恵理事(当時)から、子ども食堂の役割の広がり、企業との連携事例等について、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

左から三島氏、平野氏

■ 食支援プラットフォームや寄贈システムを構築(平野氏)

全国食支援活動協力会はもともと高齢者向け配食サービス組織の連絡会として設立された。2016年から全国でのイベント開催や運営ガイドブック作成等を通じ、子ども食堂普及に努めてきた。

近年では、若者やその親、高齢者など誰もが参加できる地域食堂が増えている。食の活動は単なる栄養提供ではなく、居場所づくりを通じて孤立を防ぐものである。食支援を契機に、利用者が直面している課題を発見し、各種サービスにつなげる機会にもなる。

しかし、食支援活動団体の多くが、担い手やノウハウ、資金などの資源不足に悩んでいる。そこでわれわれは、さまざまな機関・団体、行政、企業などが広域につながり、ヒト、モノ、資金、情報等を活用する「食支援プラットフォーム」の構築を推進している。

また、企業等による寄付食品の物流支援として「ミールズ・オン・ホイールズ・ロジシステム」(MOWLS)を展開している。電子情報の活用により、寄贈主と全国の活動団体の効率的なマッチングやトレーサビリティが可能となる。企業からは、(1)食品寄贈(2)保管・配送などの直接的支援(3)社員食堂を子ども食堂として開放(4)社内に設置した自動販売機の売り上げを一部寄付――のような支援の例もある。各企業の得意分野での協力をお願いしたい。

■ 地域がつながる子ども食堂(三島氏)

子ども食堂の数は年々増加している。特にコロナ禍で地域につながりの場や居場所が必要とされ、子ども食堂の重要性が再認識された。多くの子ども食堂では参加を子どもに限らず、また、多世代交流や地域づくりを活動目的に掲げている。

中山間地でも地域のつながりの場へのニーズは強く、子ども食堂は広がっている。高齢者施設で子ども食堂を開くと、子どもたちとの交流が高齢者の生きがいになるという報告もある。

災害時には炊き出しや心のケア、個別相談などで活躍する。日頃から地域とのつながりがあるので、困っている人がどこにいるかが分かり、迅速な支援に結び付けられる強みがある。

企業からは、フードドライブ(家庭で余っている食品を店舗等に持ち寄り寄贈する活動)、募金、啓発活動で支援してもらっている。この他、社員がチームを組んで調理・配膳に参加するボランティア活動なども行われている。

企業には、自社のビジョンや社会貢献の目的を実現する一手法として、子ども食堂との連携を深めてもらいたい。引き続き、企業と共に、地域社会に貢献できる取り組みを拡大していきたい。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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