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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年7月17日 No.3691 英国の産業戦略に関する懇談会を開催

ロングボトム大使

経団連の髙島誠副会長・ヨーロッパ地域委員長、齋藤洋二同企画部会長は6月24日、東京・大手町の経団連会館で、英国の産業戦略に関する懇談会を開催した。ジュリア・ロングボトム駐日英国大使から同戦略について説明を聴いた。概要は次のとおり。

英国はビジネスに開かれ、日本の投資先として最も信頼される国であることを約束する。現スターマー政権の最優先課題を解決するためには、より多くの投資が必要である。長期的な投資を行ううえで求められる安定性を確保し、投資を阻害する要因を解消すべく、新たな産業戦略(注1)を策定した。

同戦略は2035年までの10年間の計画である。英国が強みを持つ先端製造業、クリーンエネルギー、クリエイティブ産業、デジタル技術、防衛、金融サービス、ライフサイエンス、専門サービスの八つの産業に優先的に取り組むとしている。

日本企業からも懸念されている英国の高エネルギーコストについては、27年に導入される英国産業競争力スキームにより、エネルギー多消費型企業の電気料金を最大25%抑制する。また、戦略的に重要なプロジェクトの送電容量を確保する。

生産性向上のための投資も行う。研究開発費は30年までに年間226億ポンドに増やす。さらに技能向上と人材確保のため、グローバル・タレント・タスクフォースを立ち上げ、ビザと移民政策を改革する。

八つの産業を資金面でも支援する。先端製造業に300億ポンド、AIアクションプランの実現に20億ポンド以上、世界初の健康データ研究サービス設立に6億ポンドを投じる。国富ファンドの資本金を280億ポンドに拡大し、700億ポンドの民間投資を呼び込む。政府系開発金融機関である英国開発銀行の資本を40億ポンド増強し、英国輸出信用保証局の貸出余力も600億ポンドから800億ポンドに増加させる。

英国は、インド、EU、米国のほか、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に加盟していることから多くの市場へのアクセスを提供できる。

英国には1000社近くの日本企業が進出し、870億ポンドを投資している。日英両国は、23年の「強化された日英のグローバルな戦略的パートナーシップに関する広島アコード」(広島アコード)(注2)により、防衛、サイバー、科学等での協力を深めている。

25年には経済版「2+2」も発足させた。産業戦略パートナーシップで協力する国は日本が初である。新たな産業戦略を日英の新たなパートナーシップの礎としたい。

(注1)The UK's Modern Industrial Strategy - GOV.UK
https://www.gov.uk/government/topical-events/the-uks-modern-industrial-strategy

(注2)23年5月、G7広島サミットで日英首脳が締結。安全保障、経済、グローバル課題における協力を推進することを合意した

【国際経済本部】

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