経団連は6月17日、「SDGs達成およびポストSDGsに向けて」を公表した。概要は次のとおり。
■ SDGsを巡る現状
経団連は、2017年に全会員企業に遵守を求める「企業行動憲章」を「Society 5.0 for SDGs」を柱として改定して以降、企業のSDGsの取り組みの理解と実践を促進してきた。
国際社会においては、24年9月に国連未来サミットが開催され、30年のSDGs達成に向けて取り組みを加速する必要性と、30年以降のポストSDGsの検討を27年9月から開始することが公表された。これを受けて、世界ではポストSDGsに向けた議論が始まりつつある。
一方で、米国トランプ政権はSDGsを非難・否定し、欧州でも、サステナビリティ関連政策の見直しが議論されるなど、サステナビリティを重視した取り組みの後退が懸念されている。
■ 近年の経団連の主な取り組み
企業は経営戦略のなかにSDGsを組み込み、イノベーションを通じて内外の社会課題の解決と持続的成長を同時に実現すべく、積極的に取り組んでいる。
経団連が24年1月に公表した「第3回企業行動憲章に関するアンケート結果」などから、多くの企業が取り組みを進めている課題や、近年進捗が見られるものとして、「ビジネスと人権」「女性の活躍」「GX(グリーントランスフォーメーション)、CE(サーキュラーエコノミー)、NP(ネイチャーポジティブ)の一体的推進」「情報開示とインパクト評価」が挙げられる。
■ SDGs達成およびポストSDGsに向けた経団連の基本的考え方
SDGsに対する反動や揺り戻しの動きにかかわらず、SDGs達成およびポストSDGsに向けて、引き続き取り組んでいく。
SDGs達成に不可欠な、企業としてのリーダーシップを発揮して取り組みを進めるうえでの基本的考え方は、次の5点。
(1)企業によるイノベーションの創出と社会実装による社会変革への貢献(2)サステナビリティを成長機会と捉えた、日本の経済成長と国民のウェルビーイングの向上(3)マルチステークホルダーとの対話や連携の強化(4)課題先進国としての取り組みや知見の提示(5)ポストSDGsの検討への積極的・戦略的な関与と貢献――である。
■ 経団連として注目する課題と取り組み方針
1.技術・イノベーションの推進・展開
技術の負の影響に対処しつつ、イノベーションの社会実装と新産業の創出のために積極的に投資するとともに、データやAIの利活用に向けたガバナンスの向上を図っていく。
2.取り組みの進捗の測定と評価の推進
情報開示に係る企業負担の改善に向けて、基準策定主体に対して、基準の相互運用性の確保や基準の統合・簡素化などを働きかけるほか、インパクト評価の実用化や普及に向けて、積極的に取り組んでいく。
3.サステナブル・ファイナンスの活用
ESG(環境・社会・ガバナンス)投資やインパクト投資を引き続き推進していく。また、官民の資金を組み合わせて投資規模を拡大する、ブレンデッドファイナンスの活用の促進に向けて、政府開発援助(ODA)事業のリスクテイク機能の強化を今後も政府に求めていく。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】