
福原氏
経団連は7月1日、東京・大手町の経団連会館で外国人政策委員会(深澤祐二委員長、大島卓委員長)を開催した。出入国在留管理庁の福原申子在留管理支援部長から、外国人との共生社会の実現に向けた政府の取り組みについて説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 在留資格「家族滞在」が増加傾向
日本に在留する外国人数は2024年末に約377万人で過去最高を更新し、総人口に占める割合は3%に到達した。
在留資格別に見ると、近年はとりわけ「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」「留学」「家族滞在」が増加している。
特に「家族滞在」は、帯同が可能な配偶者や子どもの在留資格であり、近年、10歳未満の割合が増加し、外国人が日本で出生するケースも増加している。
■ ライフステージに応じた支援が不可欠
こうした状況を踏まえると今後は、帯同する家族を含めた外国人が、就学や就職、子の出産、年金・福祉・介護といったライフステージに直面するケースが増加していく。したがって、ライフステージの移行時に、外国人が制度を正しく理解し、活用するための支援が不可欠となる。
他方で最近、一部の外国人による迷惑行為や犯罪、住民トラブルに加えて、事業の実態がないにもかかわらず経営者として入国するケースが指摘されるなど、国民の不安が高まっている。
こうした状況を踏まえ、政府は25年5月に「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を発表した。
6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針2025)では、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けて、出入国在留管理や外免切替手続(注)・社会保障制度等の適正化に関する方針を掲げた。
6月の「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」では、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」の一部変更と、25年度に実施すべき施策を示した「総合的対応策」を決定した。
「総合的対応策」では、共生社会の実現に向けて、外国人へのオリエンテーションを充実・強化するための施策を掲げている。外国人が日本の生活ルールやマナーなどを入国前から学ぶためのガイドブックや動画の作成、外国人コミュニティとの対話型オリエンテーションによる正確な情報の提供、地方自治体への一元的相談窓口や通訳支援等に係る支援措置、やさしい日本語の普及に向けたガイドラインや研修教材の作成など、多岐にわたる支援に取り組んでいる。
正確な情報を外国人に届けるためには、地域に根付き、ニューカマーの外国人と同じルーツを持つ外国人コミュニティとの連携が重要なカギとなる。民間団体を含む多様な主体との連携を図っていきたい。
■ マイナンバー等の一層の活用
共生社会の実現に向けた基盤整備も重要な課題である。政府では、24年6月の出入国管理及び難民認定法(入管法)等の改正を受けて、26年6月に在留カードとマイナンバーカードを一体化した「特定在留カード」の交付を開始する。手続きをワンストップ化することで、在留する外国人の利便性向上と、行政運営の効率化を図る。
27年3月からは、デジタル庁が運用する情報提供ネットワークシステムを活用し、在留申請時に、出入国在留管理庁が申請者等のマイナンバーを利用して他の行政機関と連携することで、証明書等を入手するための行政手続の省略等を可能とすることを目指す。
こうした取り組みを通じて、外国人がルールを守り、責任ある行動を取ることができるよう支援することで、共生社会の実現を目指していく。
(注)外国の運転免許を日本の運転免許へ切り替える手続き
【産業政策本部】