経団連は2024年9月に提言「2024年度規制改革要望」を公表し、平将明内閣府特命担当大臣はじめ政府関係者にその実現を働きかけてきた。その結果、政府は同提言に掲載した多くの項目を盛り込んだ「規制改革実施計画」を25年6月に閣議決定した。
そこで経団連は7月3日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会企画部会(尾台賀幸部会長)を開催し、内閣府規制改革推進室の渡辺公徳前次長(現財務省大臣官房審議官)ならびに福田誠次長から、規制改革実施計画の概要をはじめ政府の進める規制改革の取り組みについて説明を聴いた。概要は次のとおり。
政府は、民間委員からなる規制改革推進会議を中心に、技術進歩や社会環境の変化等に応じた規制・制度の見直しを推進している。
24年度から25年度にかけて、「スタートアップ・イノベーション」などの岸田文雄政権下からの継続課題に加え、石破茂政権下の重要課題である「地方創生」に関し、地域活性化や、地方自治体における人手不足に対応するためのデジタル化推進等のための規制改革に取り組んでいる。
規制改革推進会議で取り扱う事項の性質は時代とともに変遷してきた。
近年は、人手が豊富にあることを前提に設計された従来の規制が、デジタル技術を活用した人手不足への対応を阻んでいる例もみられる。このような時代遅れの規制を見直すとともに、地域によって異なる制度を統一し、システム化を促すことも求められる。
いずれの改革においても、「利用者起点」すなわち、制度利用者の立場での検討が不可欠である。
政府が6月に閣議決定した25年度の規制改革実施計画は、「地方創生」「賃金向上、人手不足対応」「投資大国」「防災・減災」の四つのテーマに沿い、個別の改革事項の方針を整理している。
「地方創生」では、ロボット農機の公道走行制度化を盛り込んだ。具体的には、法律上不明確であった自動走行する農機の取り扱いにつき、道路運送車両法上の位置付けを創設のうえ、道路交通法上の「特定自動運行」の対象となる旨を明確化した。
この他、24年度から議論が続くライドシェア事業については、国土交通省のみならず、内閣府においても実地調査を通じて全国の移動の足の不足の実態把握に努め、継続して規制改革を推進している。
「賃金向上、人手不足対応」では、スタートアップの柔軟な働き方の推進を盛り込んだ。管理監督者や裁量労働制など、大企業における働き方を前提とした従来の制度について、スタートアップでの働き方の実情に即した制度対象の明確化に向けて検討を進めている。
「投資大国」では、公的データベース等における医療等データの利活用法制等の整備など、「防災・減災」では、迅速な復旧に向けた損壊家屋等の公費解体・撤去の促進など――をそれぞれ盛り込んでいる。
今後も、25年度からの継続課題に加え、社会の変化に応じた新たな規制改革に取り組んでいく。
【産業政策本部】