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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年9月4日 No.3696 深刻化する非偽造違法品への対策に向けて -OECDが非偽造違法品に関するセミナーを開催

稲垣委員長

近年、以前から問題視されている模造品とは違い、商標権等の知的財産権を侵害することなく、正規品と偽る商品包装やSNSの宣伝広告等の巧妙な手口を使った非偽造違法品(Non-Counterfeit Illicit Products)の流通量が水面下で世界的に増大している。

eコマースの利用拡大や貿易ネットワークの巨大化に伴い、被害がますます深刻化するなか、非偽造違法品のサプライヤーは国境を越えて暗躍しており、各国の国内法や既存の国際的な法的枠組みでは取り締まることが十分にはできていない。

こうした背景のもとで有効な対策を検討すべく、経済協力開発機構(OECD)は8月6日、非偽造違法品に関する初のセミナーを東京・大手町の経団連会館で開催した。経団連を代表して、稲垣精二審議員会副議長・OECD諮問委員長が出席した。

■ 解決にはOECDと各国官民の連携が必須

開会あいさつに立った稲垣委員長は、非偽造違法品は、安全・セキュリティ基準や環境規制を無視することで健康・環境への被害をもたらすだけでなく、関税、物品税、消費税等の課税をすり抜けるため、公正なルールに基づく貿易・投資システムやイノベーション創出の脅威となっていると、違法品がもたらす影響の深刻さを強調した。

加えて、こうした違法品の潜在的な脅威に対処するため、OECDは各国政府や経済界と連携して実態に関するデータを収集し、エビデンスに基づいた対策を提言してもらいたいと、OECDへの期待を述べた。

その後、OECDの政策担当者や企業の有識者、政府等の専門家の間でパネルディスカッションを実施。酒、たばこ、医薬品、家電、衣料品など幅広い分野における非偽造違法品の事例が紹介され、今後の対策の方向性を検討した。

◇◇◇

今後、OECDは、実効性のある対策を検討すべく、同様のセミナーを米国、英国で開催し、さまざまなステークホルダーと継続的に議論していく予定である。

【国際経済本部】

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