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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年9月18日 No.3698 「AZEC構想の推進に関する第二次提言」を公表 -脱炭素化プロジェクトの着実な推進に向けて

経団連は9月16日、「AZEC構想の推進に関する第二次提言~脱炭素化プロジェクトの着実な推進に向けて」を公表した。

アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想は、各国の事情に応じたエネルギートランジションの「多様な道筋」を通じて、アジアにおける脱炭素化・経済成長・エネルギー安全保障の同時実現(トリプルブレークスルー)を目指すべく、2022年に日本政府が提唱したイニシアティブである。

本提言は24年に公表した第一次提言に続き、25年秋に開催予定の第3回AZEC首脳会合・閣僚会合の開催に向けて取りまとめたもの。概要は次のとおり。

■ AZECに対する評価と課題

本提言に先立ち実施した「AZEC構想の推進に向けたアンケート」では、回答企業の34%が進捗を評価する一方、35%はスピードが遅いと回答した。

日本経済界のAZEC、とりわけ脱炭素化に資する個別プロジェクト(以下、個別プロジェクト)への期待は依然として高い。

気候変動が深刻化する一方、「多様な道筋」への理解が世界的に浸透するなか、AZECの意義は増している。省エネ製品や脱炭素化技術等を巡る諸外国との競争が激化しており、日本がリーダーシップを発揮し、よりスピード感を持って個別プロジェクトを進めることが肝要である。

■ AZECへの政策提言

個別プロジェクトの推進に当たっては、日本政府・パートナー国政府の政策連携・協働を通じたビジネス環境整備も不可欠である(図表参照)。

1.政策協調すべき施策

脱炭素化への第一歩として、まずは「温室効果ガス(GHG)排出量の可視化」が必要である。GHGプロトコルとの互換性を確保する方向で、AZEC域内での統一算定ルール策定に向けた議論を開始すべきである。

産業データスペースの構築とユースケースの創出、さらにはパートナー国への展開に官民が協力して取り組み、将来的には排出量データの連携を目指すことも求められる。

企業の関心の高い施策が「基準・認証の統一、規制・制度の調和」である。個別プロジェクトの推進に直結する重要な施策であり、自動車用バイオ燃料等、代表的な5分野について提言した。同時に、グリーン製品等の環境価値が正当に評価され対価を払ってもらえるよう、環境価値が明確になる指標の検討も不可欠である。

2.個別プロジェクト推進のための施策

企業の投資予見性を高めるべく、各パートナー国において、グリーン製品等の導入時期や重点投資分野等を含めた「ロードマップの策定・充実」が不可欠である。そのうえで、すでにベトナムなどで設けられている二国間の官民協議の枠組みを範として、これを拡大して積極的に活用すべきである。

同時に、個別プロジェクトへの「資金供給の拡充」も不可欠である。投資回収の予見性および事業の適格性の判断と信頼性の確保が課題となるなか、官民の資金を有機的かつ戦略的に活用できる枠組みを検討する必要がある。

二国間クレジット制度(JCM)(注)も、個別プロジェクトを進めるための有益なツールの一つである。マレーシアと早期に構築するとともに、手続き・承認・発行プロセスの簡素化・透明化等が求められる。

(注)途上国等への優れた脱炭素技術等の普及や対策実施を通じ、実現したGHG排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価するとともに、日本のNDC(Nationally Determined Contribution=国が決定する貢献)の達成に活用する制度

【環境エネルギー本部】

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