厚生労働省と欧州委員会は7月16日、都内で「第20回日EUシンポジウム」を開催した。
日本側からは山田雅彦厚生労働審議官をはじめとする厚労省幹部、経団連、日本労働組合総連合会(連合)が出席。EU側は、マリオ・ナヴァ欧州委員会雇用・社会問題・インクルージョン総局長率いる代表団が来日した。両地域の政労使代表が一堂に会し、「安全で健康的な労働環境のために」をテーマに議論を深めた。

セッション1では、高齢労働者の増加やデジタル技術の進展に伴って労働市場が大きく変化するなか、労働安全衛生政策の課題について議論が行われた。
特に、職場における心理的・社会的リスクやメンタルヘルスへの影響を巡り、政労使の代表や専門家がそれぞれの立場から見解を示した。経団連は、会員企業に対して、高年齢者の労働災害防止策の実施や長時間労働、メンタルヘルス不調の防止に向けた取り組みを呼びかけていることなどを紹介した。
セッション2では、労働災害や職業性疾病の予防における使用者と労働者の役割について議論した。
経団連は、働き手の安全と健康の確保は使用者の責務であることを強調。安全・安心な職場づくりを「人的投資」として捉える視点の重要性を訴えた。加えて、労働災害や疾病の予防には、労働者側の積極的な協力も不可欠であることなどを指摘した。
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同シンポジウムは、1991年に労働省(当時)と欧州委員会が合意して以来、定期的に開催している。雇用・労働分野をテーマに、日EU双方の政府担当者、労使代表、専門家が意見交換し、共通課題に対する理解を深める貴重な場となっている。
2023年9月にベルギー・ブリュッセルで開催した第19回では「社会経済の移行期における学び・学び直し」、21年7月にオンライン開催した第18回では「女性活躍の観点からのワークライフバランス」をテーマに議論してきた。
【労働法制本部】