経団連は9月9日、都内で地域経済活性化委員会(永井浩二委員長、小林哲也委員長、月岡隆委員長)を開催した。伊東良孝新しい地方経済・生活環境創生担当大臣ならびに内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部の海老原諭事務局長から、「地方創生2.0」に係る取り組みについて聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ 地方創生2.0の実現に向けた官民連携を求める(伊東大臣)

政府は2025年6月、今後10年間を見据えた「地方創生2.0基本構想」を閣議決定した。地方創生2.0は、10年前の「1.0」を全く新しいものにする意味を込めて名付けている。
本構想では、目指す姿として、「強い経済」と「豊かな生活環境」の基盤に支えられる、「新しい日本・楽しい日本」をつくることを掲げている。
一例として、「広域リージョン連携」により、複数都道府県にまたがり、自治体だけでなく経済団体等の多様な主体が連携して、産業政策や観光振興等、地域経済の成長につながる施策を面的に展開することを打ち出している。
さまざまな要素を掛け合わせる「新結合」により、新たな価値を創出し、自然や文化・芸術等、各地の地域資源を活用した高付加価値型の産業・事業を生み出すことや、魅力ある職場づくり・人づくりを起点にした社会変革により、「若者・女性にも選ばれる地方」をつくることなどを目指している。
官民が連携し、ハードだけではなく、ソフトの魅力で新たな人の流れを生み出すとともに、AI・デジタル等の新技術を徹底的に活用していく。
政府では、予算の概算要求や税制の改正要望が取りまとめられ、基本構想で示した方針を踏まえ、年末までに「総合戦略」を取りまとめることとしている。地方創生2.0を進めていくに当たり、引き続き官民の緊密な連携をお願いしたい。
■ 多様なステークホルダーとの連携による地域経済・社会の活性化が不可欠(永井委員長)

経団連は各地域で、地元の企業や大学等、多様なステークホルダーが主体的に地域課題の解決や地元の魅力向上に取り組むことを「内発型の地域づくり」と定義し、その実現に向けた取り組みを推進している。
24年末に公表した経団連の中長期ビジョン「FUTURE DESIGN 2040」(FD2040)では、地域資源を活かし、広域的な連携を推進する手段として、行政区域にとらわれず、独自の施策を柔軟に実行していく考え方「新たな道州圏域構想」を提唱した。
政府の広域リージョン連携は、先般、各地域の自治体や経済団体等による広域的な連携を支援する枠組みが新設されるなど、経団連の「新たな道州圏域構想」の考え方と軌を一にしている。
地域経済・社会の活性化には多様なステークホルダーとの連携が不可欠である。地方創生2.0のさらなる推進に向けて、経済界も一層取り組みを進めたい。
【産業政策本部】