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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年10月9日 No.3700 働き方改革関連法の見直しに向けた議論の状況 -労働法規委員会労働法企画部会/労働時間制度等検討ワーキング・グループ

川口氏

経団連は8月26日、都内で労働法規委員会労働法企画部会(奥村英雄部会長)と労働時間制度等検討ワーキング・グループ(田中輝器座長)の合同会合を開催した。厚生労働省労働基準局の川口俊徳労働条件政策課長から、労働政策審議会労働条件分科会の議論の状況について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

厚労省は、働き方改革関連法の施行5年後見直しの検討規定に基づき労働基準法等について幅広く検討するため、2024年1月に学識者で構成する「労働基準関係法制研究会」を設置し、1年間の議論を終えて報告書をまとめた。

25年1月からは、労働政策審議会労働条件分科会で、同報告書の内容を基に労働基準法等の見直しに向けた議論を重ねている。

■ 勤務間インターバルと連続勤務規制

同分科会で特に関心が高まっているのが、(1)企業実務への影響が大きい終業から翌日の始業までに一定の休息時間を設ける勤務間インターバル(2)13日を超える連続勤務を禁止する規制――である。

使用者側は画一的な規制導入に反対したうえで、企業実態に即した例外措置等を認めるよう求めている。一方、労働者側は健康確保を理由に、これらの規制の一律的な義務化を訴えている。

■ フレックスタイム制

使用者側は、特に企業現場に従事する労働者の働きやすさや働きがいを高めるため、労働者が始業・終業時刻と労働時間を自ら決める「フレックスタイム制」と、所定の労働時間が決まっている「通常勤務日」を組み合わせることができる制度にすべきと主張している。

■ 副業・兼業

現行法では、副業・兼業は、労働時間を通算し、それに係る割増賃金の支払いを企業に求めている。このような状況下では、自らの経験やスキル獲得のための副業・兼業の普及が進まないことから、使用者側は労働者の健康確保のための労働時間通算は残しつつ、割増賃金の通算を廃止すべきと訴えている。

■ 裁量労働制

現在の裁量労働制は対象業務が厳格に規定されているとともに、企業でもその適用可否の判断が難しいことから、使用者側は裁量労働制の対象業務の範囲拡大、手続きの緩和の必要性を主張している。具体的には、過半数労働組合のある企業は、労使が話し合い、裁量労働制を適用するにふさわしい対象業務を決定できる仕組みへの見直しを求めている。

これに対して労働者側は、長時間労働を助長しかねないため、その適用範囲の拡大や要件緩和を安易に行うべきではないと強く反対している。

■ 意見交換

部会委員から「企業は労使で話し合い、テレワークなどさまざまな働き方を拡大して働き手の挑戦を支援することに力を入れてきた。日本企業がグローバルな競争環境で戦っていくうえで一層柔軟な働き方が実現できる労働法制を強く求める」といった意見が出された。

◇◇◇

25年の「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針2025)、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」には、働き方改革関連法施行後5年の総点検を行い、働き方の実態とニーズを踏まえた労働基準法制の見直しについて労働政策審議会で検討する旨が記載されている。

同分科会では、同政府方針も踏まえつつ、引き続き働き方改革の見直しに向け審議する予定である。

【労働法制本部】

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